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カテゴリ:名画の秘密
ライラック ダ・ヴィンチの初期の作品で、1475年頃に描かれた。 モデルのジネーブラ・デ・ベンチは、結婚を目前に控えた17歳くらいの少女で、無表情で不機嫌そうに暗く沈んでいる。 これは物思いにふける彼女の心理状態を描いたという説がある。 この絵は、地味な色使いではあるが、緻密な筆使いで描かれた巻き髪、輝く美しい肌など、彫刻のような立体感がある。 ダ・ヴィンチの信条は、たとえ色彩は鮮やかではなくても、対象を浮き彫りのように描けば、眺める人を驚嘆させることができるというもので、立体感を重視して描かれている。 ジネーブラ・デ・ベンチの背後には、常緑樹のセイヨウネズノキが描かれているが、これは何気なく描かれた背景ではなく、実はダジャレだった。 この木は、イタリア語でジネプロといい、モデルの名前と似ているので、そのまま背景に使われた。 ダ・ヴィンチのダジャレはこの作品だけではなく、「白貂を抱く婦人」のモデルの名前がチェチリ・ガッレアーニで、貂をギリシャ語で「ガーレー」ということから、モデルに白貂を抱かせた。 このようにモデルの名前に引っ掛けた小道具を描くのは、ダ・ヴィンチだけの趣味ではなく、当時のイタリアで流行していた。 ルネサンスの芸術家は、ダジャレが好きだったらしい。 しかしジネーブラ・デ・ベンチのセイヨウネズノキは、ただのダジャレではなく、彼女の美しい白い肌を、大理石のようにいっそう美しく輝いて見せている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.05.15 07:52:12
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