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カテゴリ:名画の秘密
ウツギ ルネサンス期に描かれた聖母の絵の中でも、イタリアで人気が高かった15世紀のフィリポ・リッピの「聖母子と天使」は、とりわけ艶めかしく描かれた作品だ。 リッピは修道僧で、幼少期から絵が大好きだった。 才能もあった彼は、司祭職のかたわら修道院の祭壇画などを描く画僧となった。 ところが、リッピは大変な好色で、女癖が悪い司祭で、好みの女性がいればどんなことをしてでも手に入れた。 どうしても口説き落とせない時には、肖像画を描いて気持ちを鎮めた。 彼は女子修道院の依頼で絵を描く機会が多かったので、修道女も恋の対象になった。 ある時、サンタ・マルガリータ修道院で、美しい修道女を見初めてしまい、絵のモデルにした。 ルクレツィアという修道女をモデルにしたリッピは、絵を描きながら彼女を口説き、ついに1456年のある日、二人は駆け落ちしてしまった。 やがて二人の間には、フィリピーノという息子が生まれた。 以後、リッピが描く聖母のモデルは、ルクレツィアになり、「聖母子と天使」の聖母も彼女がモデルのために、艶めかしくなったのだ。 しかも、この聖母は、当時フィレンツェで流行していたヘアスタイルで、真珠の髪飾りをつけた15世紀風のファッションの聖母である。 さらに、サンタ・マルガリータ修道院にいたルクレツィアの妹や、その他の修道女も誘惑し、彼女たちも修道院から逃げ出して、彼の家に住むようになった。 そしてとうとう彼は司祭職をくびになった。 しかし、彼の絵に傾倒していたフィレンツェの君主メディチによって、法王は二人の還俗と結婚を許可させられた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.05.29 08:10:07
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