蒼き石の物語 12
皆さんおはようございます。イスです。とりあえず、物語UP。蒼き石の物語 12乱戦を制するにはまず数が勝っていなければならない。もし、これがどんな戦いでも常であれば、今この状況はそれを覆す証明となるだろう。「にしてもさー」カイエは腰に吊った紐付きダートを次々と打ち出す。そしてそれは的確に盗賊たちの体を少しずつ破壊していく。「なんかすごい人数だよねー(ふさふさ)」そうして怯んだ盗賊たちは、その輝く双爪で次々と屠るふもふ。「近くにいる盗賊たちでも湧いてきたんじゃないか? あいつら意外と繋がり強いからな」ダートに、爪に、魔力による炎を付加していくmyth。「どんな方たちとも、そうやって友好の輪を広げていければよろしいのに・・・」そして、その彼らを後方で支援する女性神官が一人、静かに神への祈りを捧げている。ゴーストを撃退した後、すぐに彼らは盗賊たちの大集団に襲われることになった。最初にそれに気づいたのはシーフのカイエだ。そして彼らは少数というこの状況で待ちを選んだ。本来この状況であれば逃げるのが常套なのだが、夜目がたつ盗賊相手に彼らが逃げ切れる可能性は低い(逃げたら報酬出ないとmythヘイスト断固拒否なのも原因ではあるが・・・)また、彼らは教会陣の陣営に辿り着いていないこともこの状況を招いた要因とも言える。ピンチ・・・のはずなのだが・・・「えい」「わぉ~~~ん(ふさふさ)」の二つの声が重なり敵は倒れていく。油断なく隙もなく、また怪我をしても優秀な神官がいることもあって、彼らはたった4人でこの状態を維持し続けている。「意外とこのまま押し切れたりして」と、そこに大量の矢がサクサクサクと地面へ次々と、そしてふかぶかと刺さる。「「「「・・無理」」」」「だね」「(ふさふさ)」「だな」「ですわね」運よくそれらは彼らよりも手前に落ちた。さすがにこんなので攻められたらあっという間に蜂の巣だ。「どうする・・・・?」mythはそう言いながら無詠唱魔法ヘイストをすばやく全員に付加する。さすがにどケチの彼でも仲間の命は代えられないらしい。「あの大量の罠の真ん中に行っても、たぶんまた矢で追い立てられるだろうしねぇ・・・」「困りましたわ」どうにも緊張感のない会話だ。だが、慌てても状況が変わらないことを、この4人はよく知っている。「・・・少しずつ下がろうよ。一応」意識合わせはすぐに完了。ゆっくりと彼らは後方へ撤退を始めた。と、そこへ・・・「あれ・・・この音・・・って」どこか特徴があり、しかし、決して不快ではない静かな声。それは一つの音楽となって全ての意識を一つにする。そんな音が聞こえる。「わんこ知ってる~。これ、よく奇麗な建物から聞こえる音楽だよね~」それは信仰の声。それは信じる者を敬い、力を求める声。「あらあら・・・信者様たちの『祈り』ですわね」そう、この音楽は『祈り』。朝の生活を始める時に祈り、戦いに出る者たちのために祈り、神聖なる戦いに出る時も、神を信じる者たちが謡う歌。全ての戦い、全ての事柄で、彼らはこの『祈り』から全てを始めるスタートとする。「修道戦士たちのお出ましだな」mythが呟いた。そして、時の声が聞こえる。「「「「「うおーーーー!!!!!」」」」」勇ましい戦士たちの声が次々とカイエたちの後ろから響いてくる。彼らの戦いを見ていたのか、戦士たちは誰一人カイエたちに戦いを挑むことなく、敵たる盗賊たちの元へ駆けぬける!!それに見とれていたカイエは、100近くの戦士たちが駆け抜けた先を、ふと思った。「あ、そっちは爆薬のわ・・・」ちゅどーん。哀れ戦士。盗賊の元へ辿り着く前に罠で次々と散っていく。「あああああ!! み、みなさ~~~~~ん!!!!」それを涙目で追っかけたカムロは・・・ちゅどーん「「「あ~~~」」」言うまでもなく吹っ飛んだ。ゾクっと、いや~~な感じがした。なんだ今の。すっげぇ嫌な予感したんですけど?あたしは右手に包帯を巻きつつ。よく分らない感覚にちょっと気分が落ちる。騎士を叩き潰したあと、あたしは救急箱?っぽいものを見つけて止血して包帯を巻いている。どうにもきついね? 根性なくても騎士としての実力は一級品だったみたい。なんとか陣営に戻りたいけど、さっき出て行った盗賊たちがなんとかならない限りは無理かも。ここで隠れていることも考えたけど、盗賊たちふっ飛ばしたからさすがにばれるか・・・まだ夜は明けそうにないし、外出て行ったらゴーストに襲われるかもだし。そんな事を考えるとどんどん気が落ちていく。マジでこれは弱気だわ。っと、外へ出てみると・・・おや、盗賊たちが勝鬨上げてますよ? もしかして陣営全滅か?リスちんたちがいるし、そうそう落ちることはないと思ったけど。事態はかなり悪いようだ。あたしが張った爆薬の罠で結構な数が削れてると思うけど。盗賊名乗ってるやつらには冒険者くずれもいるだろうし。罠を見抜くやつもいるかもしれない。・・・ああ・・・やるしかないか・・・あたしは胸の蒼い首飾りを握りしめる。味方が無残にも爆薬に倒れた中、カイエたちは一つの音を聞く。それは爆音。だが、それは先ほど修道戦士たちが吹き飛ばされた音とは異なる。メテオシャワー高位の魔術師だけが操ることの出来る超高位魔法。カイエとふもふはmythを見るが、彼は首を横に振る。彼ではない?では、誰が・・・そう思う間も次々と爆音が響いてくる。そして、そのメテオの降り注ぐ先にいるのは・・・「うわー!!」「ひぃー!!」「助けてくれー!!」盗賊たちの声が響いてくる。そう、その魔力による隕石の落ちている先にいるのは・・・盗賊たちの集団。ただメテオを召喚するだけならば中級魔術師でも出来る。だが、今目の前に次々と降り注ぐ隕石の威力はすさまじく、しかも的確に次々と盗賊たちを屠っていく。無残。その光景は、彼らが麻薬巣窟の盗賊だとわかっていても・・・「ひどい・・・」「くぅ~ん・・・」「なんてコントロールだ・・・」いったい何人の魔術師がいたのだろう。メテオが降り注いでわずかな間に、森の木々は隕石に押しつぶされ、そして盗賊たちもまた、それらに巻き込まれ・・・数瞬後には、全ては終わっていた。不幸中の幸い、とでも言うのかな?あの後疲労と過労とで麻薬巣窟近くで発見されたあたしは、教会から応援に来た神官団に救われた。うまく手紙が届いたのか(そうでもなかったことは後々判明)、クルネスメンバーも救出チームに加わっていた。しあさってのギルドメンバーも無事だったらしい。さっきあたしに挨拶に来て、ハノブに向かうという話だ。あたしもハノブ行くし、後で挨拶に行くか。・・・借りが出来たしな・・・借り。そう、まじで借りが出来た。先の戦いでなんとか態勢を整えた修道戦士団は、アーデル神父とがほんず軍曹を中心に盗賊団殲滅のために森へとなだれ込んだ。実際致死量を超えるほどの毒をいれられていたのはこの二人だけだったらしい。元々初級の回復魔法を使える者が多かったのと、ツァちんがいたおかげで解毒薬がすぐに出来たのも要因らしい・・・が。・・・バレルワケニハイナカナイヨ・・・・あの罠。あたしが設置してまわった罠が、まさか守る対象であるはずの修道戦士たちを全滅させるとは思いもしなかった。っていうか、爆発抑えた罠で全滅するなっての・・・ほんっとに幸いなことに、修道戦士たちは全滅し重軽傷を多く出してしまったが、カム姉たちのおかげで死人は出ていないという。・・・ガタガタガタガタ・・・・もしあたしだってバレタラ・・・医療費とか治療費とか全部あたしの負担に!!!借り、というのもしあさってのぎるどメンバーがその罠の事を神官団に話していないことだ。っていうか、それ以前に罠の事言っておけよ・・・そりゃ、爆弾とか色々持って飛び出したあたしも悪いのだけどさ・・・盗賊団の方だけど。こっちはかなり悲惨だ。今回の事件の首謀者は、あの騎士だったらしい。(討伐しようと言い出したのがコイツまぁ以前から教会も度々盗賊団鎮圧に手勢を割いてたわけだから、討伐事態はそれほど不思議なことではなかったらしい。だが、今回この事件は起きた。やっぱり教会側で最強クラスの戦力である修道騎士が反乱したというのは、教会も隠したいらしい。クルネスとしあさっての両ギルドはかなりの金を振舞われたらしい。悲しいことに今回の事件で一番活躍したはずのあたしは通行止めの突破とか、今回の治療費でもらったお金は全てパー。あまりにもひどい罪悪感で辞退したのもあるけど・・・でも、その姿勢が後に修道戦士たちから尊敬の目で見られることになるのだが(痛すぎるそして騎士は今回の罪で数十年。投獄され、アウグスタを追放されるらしい。・・・・動機が、魔物に家族を殺されたから・・・・か騎士はもともとすごく敬虔な信者だったらしい。だが、とある事件で、彼の家族は魔物たちの手にかかったという。それが彼の目を曇らせた。・・・神に見捨てられた・・・かそう思っても仕方ない事件だったのかもしれない。だが、それでも彼がこんな事件を起こした理由には・・・間接的にはあるかもしれないが、直接的には関係ない。怨念のようなものだよな・・・今回の事件は・・・そうした暗いものは、ゆっくりと、だが確実に人を腐らせる。・・・この世はなんと悲惨でむごいものか・・・と。あたしは思う。教会直営病院のベットで横になりながら、ふと胸の首飾りを触る。それをしばらくじっと眺めた後、あたしはそのまま大の字になる。あたしはいつアウグスタから脱出出来るんだろう・・・・続く。ごめん。誤字とか色々あるだろうけど、とりあえず修正はまた後で。んじゃ、お出かけしてきます。次回、『ハノブ~工夫たちの街~』にて御座候。そんじゃね。