カテゴリ:本・雑誌
マイケル・E・ガーバー 著 原田喜浩 訳
20年間にわたってスモールビジネスの経営コンサルティングをしていた著者が、スモールビジネスの経営者やこれから起業しようという人に向けて書いた一冊です。 新版となった本書では、パイのお店を経営し始めて3年目、経営が上手くいっていなくてぐったりしている職人タイプの経営者「サラ」との対話の中で経営の問題点と成功の秘訣を話し合う形式なので、とても読みやすく、実用的な「質問」に富んだ一冊です。 著者は起業に成功する条件として4つのポイントを挙げています 1、大半の起業家が失敗する理由を知る 2、成功率の高いフランチャイズビジネスに学ぶ 3、一流企業のように経営する 4、毎日の仕事で実践する そして事業を立ち上げようとする人は調和のとれない3つの人格を持っているとしています。 ・「起業家」・・・変化を好む理想主義者、未来を生きる人 ・「マネジャー(管理者)」・・・管理が得意な現実主義者、過去を生きる人 ・「職人」・・・手に職を持った個人主義者、現在を生きる人 誰もがこの3つを持っていて、そのバランスが取れたとき驚くような能力を発揮するそうですが、実際にはスモールビジネスの場合「職人タイプ」が多く、経営者とマネジャー人格がないとこうなってしまう・・・という失敗シミュレーションがすごーく具体的に描かれているので、ちょっとぞっとします。 またこれは一般の会社組織、たとえば課とか部とかの単位にも適用される考え方で、あの人はマネジャーであの人は職人で・・・なんて当てはめながら読むとなかなか楽しいです。 後半では「事業発展プログラム」の7つのステップと3つのルールを紹介していますが、私がなるほどと思ったのは、3つのルールである「イノベーション→数値化→マニュアル化」という流れと、ステップ3の「組織戦略を考える」。 組織図を作ることで指揮・命令系統や仕事の内容がハッキリするし、マニュアル化することで個人についていた仕事が「仕組み」となって、他の人に置き換えることができるのです。 役者は本書で一番重要なメッセージは「経営者が現場にいなくても、収益のあがる仕組みを作ろう」=「個人の才能や経験に依存しない事業をつくろう」としていますが、まさにそのとおりで、いくらすばらしいノウハウがあっても、「手に職」があっても、それを他者に置き換えることができなければ、会社の規模はたかが知れてしまいます。 いち企業で働く自分にとっても、いくら1つのポジションで成果をあげても、それを受け継ぎ置き換えていくことができなければ、会社全体で見たらよいことではありません。「マニュアル化」はどうも面倒で後回しにしてしまいがちですが、節目節目で意識して作ってみよう、と思いました。 余談ですが、本書内でマネジメント戦略の例にあがっているリゾートホテルは実在するのですかね?? アメリカなので何度も行くのは難しそうですが、ぜひ一度言ってみたいし、日本にそんなところがあったらごひいきにしたいな~と思うようなホテルでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本・雑誌] カテゴリの最新記事
|
|