泣き虫しょったんの奇跡
本部長がふらっと内線をかけてきて「この人、とても文章が上手だよ。興味があったら読んでみる?」と貸してくれた本。とってもよかったのでご紹介。※本部長はよく本を貸してくれる。これで4冊目。サラリーマンから異例のプロ棋士となった瀬川さんのことは、1年半前にニュースになっていたので、漠然と覚えていた。将棋はほとんど知らないから、どうかな?と思ったけど、確かに文章がうまくて読みやすく、すらすら読めた。中でも感動的なのは、小学5年生時の担任とのエピソード。一人ひとりのことをしっかり見て、とにかく子供をよく褒める、すばらしい先生なのだけど、特にいいのは、瀬川さんが印象に残っていると紹介している以下の話。------「私はあなたたちに、人が悲しいときに寄り添ってあげられる友だちよりも、 その人が喜んでいるときに、よかったねと一緒に喜んであげられる 友だちになってほしいな」悲しんでいる人には誰でも慰めくらいはいえるけど、喜んでいる人には、人間はやきもちをやくものだ。そのとき心から一緒になって喜んであげられる友達こそ、本当の友だちだというのだ。(p45)------※確かに、自分の周囲の人とのことを考えると、 心から喜んでくれてる人とは居心地がいいし、 相手のことも心から喜んであげたいと思う。ともあれ、相手がどうであれ、私はよかったねと喜んであげられるような人になりたいな。そして、自分にもし子どもができたら、こんな先生にぜひ教えてもらいたいし、こんな風に子どもに接せられる母親でありたい、と思う。もう1つこの本のいいところは、ただの感動物語ではなく、ある種壮絶な将棋漬けの日々や挫折が赤裸々に書かれているところ。そして、本当の夢が何なのか、まっすぐに見据えられていること。プロになったこと自体、奇跡的なことだけど、それはあくまで1つの通過点でしかないことをしっかりと理解している。わーよかったね、で終わらないところがとてもよい。そして友達、ご両親、将棋の恩師との、魂レベルでの、深いつながり・・・終章の「新たな夢に」には思いがけず泣かされた。あとちょっとだからと、久しぶりに乗った通勤電車で読んだら涙があふれて・・・ラッシュの山手線で、ひっそりと感動の涙を流しました。ぜひ、読んでみてください。