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2010年12月15日
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カテゴリ:里山の日々

地域通貨のグループ

国道や県道をそれて町道や林道に入ると杉木立に囲まれた暗い坂道が急に険しくなり、さらに奥へと進むと突然、そこだけ青空が広がって、数軒の家々が寄り添う小さな集落が現れ、道は行き止まりとなる。この町は、そんな集落が、あっちこっちに点在している山里だ。

集落には小さな棚田が前に広がり、わずかな平地はもとより斜面も畑として切開かれ耕作している。その周りには柳や葦が生え、手を抜くと田畑に覆いかぶさり際限なく生活の場に押し寄せてくる。昔は、こうした木々や草木の刈り取りは集落の人が総出でやっていたという。水道や農業用水が整備されるまでは田んぼの用水路が掘られ、集落の人が共同して草刈や落ち葉をすくい上げ、雨に流され崩れた土砂を掘り上げ水路を確保していた。こうした過酷な条件の集落はもとより、農業機械が入る以前の農家では多かれ少なかれ集落の住民同士の協働作業が「結」という形で残っていた。

今はもう葬式の手伝いくらいで「結」はほとんど見られなくなった。新しく住み着いた人たちは地縁や血縁が無いだけに人間関係も希薄で、ご近所に気軽に声かけして何かを頼むということはままならない。この消えかけた人と人の協働の輪を「通貨」を媒介にして新しく甦らせようと活動している地域通貨のグループがある。メンバーのほとんどはIターンで、この地に住むようになった人たちだ。

「助け合いの輪 ありがとうのこころ」に賛同して、グループに属する会員は、"やってあげられるボランティアの項目"と"やってもらいたいボランティアの項目"を登録する。会員同士は必要な時に、それを見て個別に連絡し合い、ボランティアを終えたら事前に合意した金額を通帳上でやり取りしてサインする。ちなみに僕はバックフォーを2回貸し出して通帳には10000△△(通貨単位)の残高がある。来年は、この貯まった地域通貨を使って薪作りをお願いしようと思っている。

日曜日に、この地域通貨のグループの忘年会が、奥まった集落の一戸で行われた。餅がつかれ、お互いに自慢の手料理の一品と飲み物を持ち寄った。にぎやかだが、僕には寂しい会であった。と言うのもグループの代表の送別会も兼ねていたからだ。久し振りに酔い潰れてしまった。

101211_1827~0002.jpg フラダンスの手ほどきを受け興じる面々

代表の彼は僕よりも一回りも若いのに物静かで、誠実な人柄で、しっかりした人物だ。農業のことはもちろん色々と物知りで、随分と沢山のことを教えていただいた。隣同士なので、時々お互いの家に行き来して遅くまで酒を酌み交わした。話さずとも、目の前にいるだけで気持ちよく時間を過ごす事ができた。

秋に彼の兄さんが来たので一緒に三人で飲んだ。その時に初めて山形へ引っ越すという話を聞いた。青天の霹靂だった。悲しかった。

昨日、彼の転居先の山形に案内してもらった。月山の近くで、冬は3~4メートルの積雪があるという豪雪地帯だ。大きな山に抱かれ、最上川が滔々と流れる、そんな寂寥とした、落ち着いた佇まいに惹かれ、気に入ったという。かれは、そういう男である。

帰りに高速を降りて赤湯温泉でひと風呂浴びた。硫黄なのに塩辛かった。






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最終更新日  2010年12月15日 05時44分25秒
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