柴田香　の　kaori 's LIBRARY

こどものころ、
授業参観日がとても楽しみだった。
すっごくキレイで目立ってた
恵理子ちゃんや堀江くんのママ。
名物おやじとして有名だった
寺元くんのパパ。
それにくらべるとうちのおかあさんは至ってフツウだったけど、
あたしは誰よりも心待ちに
後ろのおかあさんたちの中から、その姿を探した。

おかあさんは、
習字だとか絵だとか2学期の目標だとかを
ほんとに細かくチェックするようなひとで、
あ、いまあたしの絵見てる、って思ったら
どきどきして授業になんて身が入らないくらいだった。

お昼ごろ、
アナウンスのレッスンをして下さっているＫ師匠と兄弟子のＴさんが、
個展を見に来てくださった。
おふたりは写真一枚いちまい、短歌一つひとつを
ゆっくり時間をかけてほんとうに丁寧にみてくださって、
あたしは、授業参観日の心持ちで
受付に座ってどきどきしてた。
一緒に珈琲を飲んで、シュークリームを食べて、
メッセージを一筆いただいた。

あたしはけしてエースだとかお姫さまだとか
そんなウツワじゃないけど、
そのうちゆっくりといぶし銀のような味のある個性を
磨いていけたらいいな。