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カテゴリ:大好きな人のはなし
母のお見舞いに行き、帰ろうとして病院を出たら 親子連れや他にも何人かが夜空を見上げていた。
ドーンと遠くで音がして 見上げると花火だった。 どこかで花火大会をやっているんだなぁ・・と夜空を見ながら そのまま駐車場に向かって帰ろうと思ったが そうだ、きっと母の病室は5階だから花火がよく見えるに違いない、 お母さんに教えてあげようと思い もう一度病室まで戻ることにした。
母は携帯を持っているけどメールができないし 病室だと通話はできないので、携帯の電源を切ったまま ロッカーのバッグの中に入れっぱなしなので こういうとき、とても大変なのである。 わざわざ病室まで行かねばいけない。 花火はいつ終わってしまうか分からないから 急いで病室に向かった。
今は病院も節電対策をしているらしく、少し動くとかなり暑い。 暑い廊下を走り、暑いエレベーターに乗って ゼエゼエ息を切らせながら病室に向かった。
私が病室に着いてみると 、花火に気付いた看護師さんが気を利かせてくれたそうで 病室は真っ暗になっており、カーテンも全開になっており すでに同じ病室の人達と一緒に母も花火を見ていた。 看護師さん、ありがとう♪ 本当に頭が下がります。
母の病室からは花火がものすごくよく見えた。 とてもきれいに花火が見えた。 「お母さん、病院に入院していて良いこともあるもんだね」 と、なかなか息切れのおさまらないまま私が言うと 母は笑っていた。 もう面会時間は過ぎてしまっていたけど、 少しだけ母と一緒に花火を見ていた。 数分だったけど、なんだか幸せな時間だった。 母は今、どんな気持ちでこの花火を見ているんだろう・・ そんなことを思った。 思ったら涙が出そうになってしまったから、 泣かないうちに帰ることにした。
私が病院を出るとき、もう花火は上がっていなかった。 駐車場に向かうときも車に乗ってからももう上がらなかった。
ほんのつかの間、母を楽しませてくれた夢のような花火だった。 母と一緒に見た夢の花火だった。
私はきっと母と見たこの花火のことを忘れないと思う。 母の病室で一緒に見たこの花火のことを きっと何度も思い出すだろうと思う。
母との大切な夏の思い出になった。
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Last updated
Nov 11, 2011 01:03:25 PM
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