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カテゴリ:風起花抄~宮廷に咲く琉璃色の恋~全40話
风起霓裳 Weaving a Tale of Love 第33話「明かされた秘密」 蒲巴弩(ホハド)は裴行倹(ハイコウケン)の情報と引き換えに曹(ソウ)王・李明(リメイ)から薬を手に入れた。 しかし巾着に入っていたのはわずか3個、蒲巴弩は曹王の仕打ちに恨みを募らせる。 一方、毒を盛られた琉璃(ルリ)はついに禁断症状に苦しみ始めた。 事情を聞いた裴行倹は慌てて不禄(フロク)院に駆けつけたが、琉璃は錯乱して薬を探し回っている。 裴行倹は琉璃を点穴してひとまず眠らせたが、孫徳成(ソントクセイ)と順子(ジュンシ)は裴行倹の薬のせいだと責め立てた。 裴行倹は急いで恒泰(コウタイ)医館へ駆けつけたが、もぬけの殻だった。 思えば琉璃の症状は錯乱した蒲巴弩と似ている。 まんまと曹王の企みにはまったと気づいた裴行倹。 一方、李明は楊(ヨウ)妃に連絡し、板打ちの罰を受けた宮女がいないか調べてもらうことにした。 しかし侍女の丹青(タンセイ)が探したところ、最近、罰を受けた宮女などいないという。 「でも若い医官が打たれて死にかけたとか…不禄院から尚服局に移った小豆子という者です」 豆子は卓錦娘(タクキンジョウ)に腕比べを挑んで負けたが、自分の刺繍を奪われたと主張していた。 引っ込みがつかない卓錦娘が打ち殺そうとするも、間一髪で裴行倹が駆けつけ救ったという。 「辻褄は合っている、豆子が男だという1点を除けば…」 裴行倹は街に出ていた蒲巴弩を発見、横道に入ったところで剣を突きつけた。 「解毒薬を出せ」 「そんなものはない、生き続けたければ飲むしかない」 蒲巴弩はどちらにしても自分も長くないと明かした。 「想い人はどんな女子だ?…私にはその女子の苦しみが分かる 早く娘を救う方法を考えるんだな、頼る相手なら分かっているだろう?」 裴行倹が宮中へ戻ると琉璃が不禄院からいなくなっていた。 驚いた裴行倹は話を聞こうとしたが、孫徳成と順子はけんもほろろで取りつく島もない。 実はその頃、琉璃は楊妃の錦楽(キンガク)宮に連れ去られていた。 「楊妃にご挨拶を…我々が不禄院へ行くと、すでにこの者は縛られていました」 楊妃は豆子がすでに禁断症状で苦しんでいると気づき、裴行倹の想い人が豆子だと確信した。 「確かにどの宮女より器量がいいわね」 そこでまず豆子の症状が落ち着くよう薬湯に浸けることにしたが、衣を脱がされそうになった豆子が激高し、内侍を引っ叩いてしまう。 すると楊妃は豆子が女子だと勘付き、その長い黒髪をほどいた。 琉璃は女子の衣装に着替え、曹王の薬を半分飲んで落ち着いた。 すると楊妃は武媚娘(ブビジョウ)の寝所にいた娘が琉璃だったと思い出し、武媚娘が送り込んだ間者だと疑う。 驚いた琉璃は皇太子と武才人を巻き込まぬよう身分を明かすしかなくなった。 「私はあなたたちが罪を着せて殺した安(アン)大家の娘・琉璃よ」 「確かに安氏に似ている…腑に落ちたわ」 楊妃は琉璃が母親の復讐のため、危険を覚悟で宮中へ入ったと分かった。 しかし当時、安氏は独断で褘衣(キイ)を作り卓錦娘に届けさせ、おかげで自分も臣下たちに批難されて散々だったという。 「死罪になって当然よ」 「阿母は無実です!阿母が職を辞して皇宮を出たのは、争いから離れ、平穏な暮らしを望んだから 皇后でもない楊妃のために命を懸けるかけるわけがありません! 幼かったけれどよく覚えています、あの褘衣は卓錦娘が作り、阿母に手直しを迫った 阿母は家族を守るため応じるしかなかったのです」 楊妃は当時のことを思い出した。 卓錦娘と林(リン)尚服が勝手に褘衣を作って届けに来たが、運悪く皇帝に見られてしまう。 皇帝の逆鱗に触れた卓錦娘は褘衣を作ったのが安氏だと訴え、自分は普段着だと騙されて届けただけだと供述していた。 「他人事のようですね?大理寺に徹底的に調べさせるべきだったのでは? 後ろ暗いところがあって口封じに殺したのでしょう?」 琉璃は楊妃の関与も疑ったが、楊妃の話では断罪したのは皇帝であり、自分は無関係だという。 「私のために働きなさい、そうすれば代わりに卓錦娘を消してあげる」 裴行倹は琉璃が陽妃と曹王に捕らわれた可能性があると考え、莫坤(バクコン)に協力を求めた。 すると曹王の倉庫を見張らせていた配下が密かに甲冑を運び出すのを目撃して追跡したところ、捕まってしまったと知る。 「信頼できる者ですが、我らの配下だと見破られると危険です 曹王は警戒を強めたはず、今、探るのは困難かと…」 裴行倹は曹王に謀反の意があるのは明らかだと気づき、急ぎ東宮へ駆けつけた。 しかし皇太子がちょうど曹王と談笑している。 李明は裴行倹の慌てた様子を見て帰ることにしたが、その時、わざと香袋を落とした。 「曹王殿下、巾着が落ちました…美しい巾着でございますね」 「これはある絶世の美女が贈ってくれたものなのだ」 何も知らない王伏勝(オウフクショウ)は黙って返したが、裴行倹はそれが琉璃の巾着だと気づく。 …あれは私への警告だ、琉璃が女子だとばれたか… 裴行倹は琉璃を守るため、皇太子に謀反の動きがあると伝えることができなかった。 楊妃は一旦、琉璃を監禁したが、使い道を思いついて会いに行った。 「太子のために龍袍を刺繍してもらう」 皇太子は毒事件から身につける衣は全て豆子に作らせていた。 楊妃は皇太子が謀反を企てた確証として龍袍を作ると説明し、実際に兵を挙げるのは裴行倹にやらせるという。 「裴行倹はどちらを選ぶかしら…お前か太子か…」 一方、裴行倹は曹王府を訪ねた。 李明は裴行倹がここまで必死なのも豆子が女子だったからかと鼻で笑い、巾着を放り投げる。 「殿下のお望みを伺いましょう」 「はお、話が早い」 李明は自分の下で働くよう迫り、断るなら琉璃への薬を止めて正体を公にするという。 やはりすでに琉璃が安氏の娘だとばれていた。 「まず琉璃の無事を確かめたい」 「そのつもりであった、亥時に独りで来い」 その頃、琉璃は禁断症状が現れ、薬欲しさに楊妃への協力を承諾していた。 琉璃は風薫殿に連行された。 すると楊妃は素直に従うなら解毒薬を与えてもいいと条件を出し、まずは自分の言葉通り密書を書いて裴行倹に渡せという。 「それができたらお前の服従を信用する」 「いいわ、言って」 「…明日、午時、玄武門にて曹王が挙兵する」 驚いた琉璃は思わず筆を落とした。 しかし楊妃は今でも裴行倹を案じているのかと笑う。 「あの毒は裴行倹が順子に渡してお前に飲ませたのよ?…後ろめたく思う必要はないの」 琉璃は裴行倹への恨みを募らせ、楊妃の前で文を書いた。 その夜、楊妃は風邪を引いた李明の見舞いと称して外出、曹王府へ琉璃を送り届けた。 裴行倹も時間通り、耀徳(ヨウトク)殿に現れる。 つづく ( ๑≧ꇴ≦)ナザの眉尻が後ろの窓まで突き刺しそうな勢いですw お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.08.03 21:52:07
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