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カテゴリ:安楽伝 全39話
安乐传 The Legend Of Anle 第36話 韓燁(ハンイェ)を失った衝撃から昏睡状態となった帝梓元(ディヅユアン)。 苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は付き切りで介抱していたが、梓元は薬も受け付けようとしなかった。 すると知らせを聞いた洛銘西(ルォミンシー)が密かに任(レン)府へ見舞いにやってくる。 「君には心配ばかりさせられる」 洛銘西の手には肌身離さず持っている玉佩があった。 梓元はこの玉佩の意味を知らなかったが、実はこれは梓元が生まれた日、靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)が″娘を妻とする証し″として洛銘西に渡したものだという。 まだ幼かった洛銘西はいつか梓元を妻として迎える日を楽しみにしていたが、思いがけず太祖が崩御、梓元を皇太子妃にすると遺詔を残していた。 父は慌てて玉佩を帝家に返そうとしたが洛銘西は反対、そして今も大切な思い出として手元に残してある。 「十分に休んだら私と靖南へ帰ろう」 そんなある日、ついに梓元が目を覚ます。 しかし梓元は想像を絶する苦しみに晒されたせいで、美しい黒髪が真っ白になっていた。 回復した梓元は皇帝に謁見した。 嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は白髪の帝梓元に驚き、韓燁への想いがこれほど深かったことを知る。 すると梓元は洛銘西だけでなく弟・帝燼言(ディジンイェン)も生きていると明かし、身分回復を嘆願した。 「太子殿下が五柳街から救い出し、温朔(ウェンショウ)と命名を…」 実は梓元も韓燁の失踪後に本人から素性を明かされたばかりだという。 皇帝は帝家の継承者が生きていたことに激しく動揺したが、皇太子に欺かれたとあっては梓元を責めようがなかった。 「いいだろう、帝燼言と名を戻すが良い、だが朕からも1つ条件がある」 皇帝は帝燼言を人質として生涯、都に留め、帝梓元は今後一切、都へ入ることを禁ずると命じた。 「…まだそんなことを?」 梓元は皇帝が未だ帝家の台頭を恐れて猜疑心にとらわれていることにへき易してしまう。 「幼い頃、私は父にじゃじゃ馬でも婚家で気に入られるかと聞いたことがあります すると父は陛下の話をしてくれた 私が生まれてすぐ頻繁に会いに来るほど陛下は気に入っていたと… 父がなぜ言い訳もせず自刎したのか分かりませんでした でも父の言葉を思い出してやっと分かったのです、″嘉昌帝は徳があつく英明な方だ″と… 父は死ぬまで陛下に忠誠を尽くし、陛下を信じていた、玉座を望んだことなどありません!」 梓元は皇帝がまだ見ぬ混乱を恐れて帝家を断罪したのかと思うとやるせなくなった。 「帝梓元は靖国の臣下となりましょう、帝家が簒奪を企てることなどないと誓います 太子殿下の目指す天下太平と民の幸せのために… ただし、私たち姉弟の今後は自分たちで決めます」 梓元は弟を連れて伏翎(フクレイ)山の帝盛天(ディセイテン)を訪ねた。 「燼言、姑祖母よ、ご挨拶して」 大伯母と初対面した燼言はその場で叩頭し、礼を尽くした。 「梓元、その髪は…簡宋(カンソウ)を迎えにやったのに遅かったのね」 「昏迷していたのです、簡宋は生きていると?」 簡宋は蒼(ソウ)山で身を投げたが、偶然にも帝盛天に助けられ、生涯、仕えることになったという。 「梓元、今までよく頑張ったわね」 帝盛天は眼下に広がる美しい都を眺めながら、かつて韓子安(ハンシアン)と共に力を尽くして太平の世を作り上げるはずだったと話した。 しかし韓子安は早世し、その夢は叶わなかったという。 「それで良かったのよ…でもあなたたちは違う、韓燁が生きていたら手を携えて歩みなさい」 その頃、韓燁も長い昏睡からようやく目覚めていた。 韓燁を救ったのは北秦の莫霜(モーシュァン)公主。 しかし莫北(モーベイ)の目潰しで光を失った韓燁は恩人の姿が見えなかった。 「誰だ?ここはどこだ?」 「私よ、莫霜よ?ここは人里離れた庵なの…まさか、見えていないの?」 莫霜は目が見えない韓燁に付き添うことにした。 実は莫霜は自分が戦の元凶となり、姉のように慕ってた安寧(アンニン)を死に追いやってしまったと責任を感じている。 しかし韓燁は皇族に生まれた以上、国のために役目を課せられると理解を示し、それより家族を失って各地をさまよう両国の民のため、責任を果たすべきだと諭した。 「ウン!安心して、罪を償うため戦禍を被った民を救うわ」 莫霜の献身的な看病にもかかわらず、韓燁の目は治らなかった。 韓燁はそろそろ帰るよう促したが、莫霜は韓燁をひとり残してはいけないと拒む。 「見えるようになるまでお世話します、せめて安楽(アンルー)姐姐が迎えに来るまで…」 「知らせたのか?!」 「いいえ、戦の後は両国の往来が途絶えたから伝える術がなくて…」 すると韓燁は自分の生存を漏らさないで欲しいと頼んだ。 皇帝は梓元の動向を探らせていた。 そんなある日、趙福(チョウフク)から梓元が弟を連れて伏翎山へ出かけたと聞く。 「伏翎山?…あの者が戻ったのか?!」 すると皇帝はじかに聞きたいことがあると言って、趙福が止めるのも聞かず出かけてしまう。 10年ぶりに再会した帝盛天は当時と変わらぬ姿だった。 「皇帝としての務めをよく果たしているわね…韓子安が今の靖国を見たら安堵するでしょう」 しかしそんな帝盛天の素直な称賛も韓仲遠をさらに疑心暗鬼に陥らせてしまう。 「心にもないこと…皇帝を廃する取り決めがなければ帝永寧を恐れることはなかった そなたたちが朕を追い詰めたのだ!」 「誤解よ、そんな勅書はなかったわ」 その時、帝盛天は気づいた。 当時、病に侵された韓子安は息子に帝王学を施す余裕がなく、あらゆる状況を想定して策を講じたのだろう。 「どうやらあなたの疑い深さまでは想像できなかったようね… しかも臣下を疑ったあげくに帝家を取り潰しにするとは!」 「ではなぜ皇帝を廃する権利をそなたに与えたのだ?!」 「…あの時、帝家が滅ぼされても私は敵討ちに行かなかった 韓子安と約束したからよ、今後一切、都に足を踏み入れないとね!」 皇帝はにわかに信じられなかった。 しかし帝盛天は帝家の宝剣に真実があるとだけ教え、帰ってしまう。 宮中に戻った韓仲遠は洛銘西が献上した帝家の宝剣を自分の剣で真っ二つに割った。 すると刃の間から太祖の勅書が出てくる。 …帝盛天の都への立ち入りを禁ず… 先帝が残したのは帝盛天に皇帝を廃する権利を与える勅書ではなく、韓仲遠の皇位を守るための勅命だった。 「朕は思い違いをしていたのか」 …私と韓子安は初めからあなたを靖国の世継ぎとすると決めていたのよ… 韓仲遠は帝盛天の言葉を思い出し、呆然となった。 「朕は間違っていた…」 莫霜の別苑、韓燁はその日、莫霜が天灯を作っていると知った。 「願いを込めて飛ばすと天が思いを受け取って願いを叶えてくれるって だから目が治るよう願掛けするわ」 「ありがとう、私も飛ばしたい」 その夜、2人は天灯を飛ばした。 莫霜は何を願ったのか聞いたが、韓燁は黙ったまま飛ばしてしまう。 実は天灯には″帝″とあった。 つづく ( ๑≧ꇴ≦)簡宋まで生きてんのかーい!w もう途中からずっと皇帝に「お前のせいやん」って言い続けてたわw それより莫霜はどういう経緯で韓燁を助けたんだろう? まさか下で待ってたのか?( ̄▽ ̄;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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