大明皇妃 -Empress of the Ming-#12 あらすじ
大明风华 Ming Dynasty第12話「皇帝の苦悩」永楽帝・朱棣(シュテイ)は意識が戻った孫若微(ソンジャクビ)を見舞った。「少し話をしないか?途中で寝ても構わない…出身はどこだ?」「山東(サントウ)の鄒平(スウヘイ)です」「暮らしぶりはどうだ?」「以前は良かった…」「以前は?どういう意味だ?ふっ、今は悪いのか?」「子供の頃、街で芸人が″鳳陽歌(ホウヨウカ)″を歌っていました 安徽(アンキ)から来た難民です、あの歌詞が今の状況を表しています…」「なるほど、では聞かせてみよ」「鳳陽というのはどんな所なの~?鳳陽は元々よいところだった~ でも朱という名前の皇帝が現れ~それから10年のうち9年は大飢饉~ 叔父と甥が~互いに争う~民はただ苦しみ続けるばかり~」「やめろ!」永楽帝は思わず声を荒げたが、何とか平静を装った。「ずい分と威勢のいい詞だな?″朱という名前の皇帝が現れた″か…朱家一族に対する侮辱だ 私の北伐は辺境の民を救うためだった!運河修復は南北の往来を促進するためだ! ″民が苦しむだ″と?…ふざけた話だ!公正な評価をしていない!」「それなら民はどうやって嘆けばいいと!」「いずれ明らかになる!私が国に尽くしたことは後世で正しく評価されるのだ! ぁ…ふっ、私としたことが小娘を相手に何を…ふっふふ」永楽帝は余裕を見せて話を続けるよう促したが、やはり耳が痛いのかやめろと言った。「率直に物を言う娘だ…」すると若微はふてくされて横になってしまう。監国を任された漢(カン)王で第2皇子・朱高煦(シュコウク)の決定で、軍需拡大の資金不足を兄弟3人が負担することになった。金欠の皇太子・朱高熾(シュコウシ)は皇太子妃・張妍(チョウケン)に無心したが断られ、悩んだあげく水西(スイセイ)門で太子府の家具を売り始める。噂を聞いた朱高煦は皇族の面汚しだと憤慨したが、このまま皇太子の評判を落とした方が得策だと気づき、見逃すことにした。孫愚(ソング)・徐浜(ジョヒン)・聶興(ジョウキョウ)は解放され、骨董店へ戻った。するとその夜、早速、朱瞻基(シュセンキ)が現れる。「ある朝廷の者がお前たちを駒にして皇上と太子を陥れようとしている 皇上は靖難(セイナン)の遺児にたいする処遇を改め、遺児を赦免(シャメン)しようと考えている もし仲介する者がいれば自ら建文(ケンブン)に会い、誤解を解きたいと思っている」聶興は虫の良い話に激昂、思わず朱瞻基の胸ぐらをつかんだ。「俺たちを赦免するだと?よくそんなことが言えたな!」「…ひとつ約束しよう 事が成就したら3万人いる靖難の遺児が都に帰れるようにし、家族も含めて名誉を回復する どうだ?」孫愚はそれより若微を返して欲しいと頼んだが、徐浜は若微が皇帝をかばって矢傷を負い、重症だと教えた。「若微は私たちを守ろうとしたのだ、お前が死ねば苦労が無駄になるぞ?」聶興は徐浜になだめられ、おとなしくなる。そこで朱瞻基は若微の恩に報いるためにも冷静に話し合いたいと訴え、その夜は帰ることにした。朱瞻基が店を出ると、徐浜が現れた。「三叔に何と言って仲間を解放させたのだ?」「″靖難の遺児とあなたは関係ない、だが皇上に追及されたら巻き込まれるやも″と…」「三叔が遺児と無関係だとなぜ判断した?」「推測だ…漢王と趙(チョウ)王が一心同体なのは周知の事実 ならばなぜ皇上は趙王に北鎮撫司(チンブシ)を? 2人を離反させ、謀反を防ぐためだ、皇上らしい策略だ」朱瞻基は洞察力のある徐浜を気に入った。「いつか剣の手合わせを…」しかし朱瞻基が帰った後、第3皇子・朱高燧(シュコウスイ)率いる北鎮撫司が骨董店を襲撃、3人は応戦したが多勢に無勢、捕らわれの身となってしまう。一方、鶏鳴(ライメイ)寺に戻った朱瞻基は、無事に床を離れた若微に琴を見せた。「これは貴重な琴だ 建文が在位していた頃、太学で方孝孺(ホウコウジュ)が弟子に六芸を教える際、使っていた 残念ながらこれを弾いていた人間は皆、この世を去った 唐(トウ)時代の名品なので師匠が目に留め、寺に置いたのだ 君にふさわしいと思い、持って来た…」「…何が聴きたい?」「君はどこから来て…どこへ行くのだ?」若微は琴弦を指で弾くと、死と背中合わせだった幼い頃を思い出した。「私は苦難の道を歩むと誓った…」…若微たちは流罪になった。多くの遺児たちが送られて来たが、若微のいた集団では年寄りが家事だけでなく易経(エキキョウ)も教えてくれたという。若微はそのおかげで本が読めるようになった。世界には憎しみだけでなく、美しいものもあると知ったが、むなしく思うこともあったという。「書物の世界と悲惨な現実はあまりに違っていた…」ある時、聶興は将軍だった孫愚を頼り、朱棣を殺すため逃げようと提案した。孫愚は相手にしなかったが、若微が興味を持つ。「聶興哥哥…」「若微も父さんと母さんの敵を討ちたいか?死ぬかもしれないが、こんな苦しみは終わる… 若微はどうしたい?言ってみろ」驚いた孫愚は聶興をつまみ出したが、若微は書物を置いて義父に言った。「私は行く…野たれ死には嫌よ…」朱瞻基はヌルガン都司で3万人が服役した話を祖父から聞いたことがあった。しかし服役者たちがその後、どうなったのかは知らない。今の朝廷では禁じられた話題だった。「これまで私が君にしてきたことは…ぁ… こうしよう、傷が治ったら君を解放する、2度と都へは戻るな」「…どうして?太孫殿下、建文帝に会いたくないの?」「爺爺の苦悩については父も2人の叔父も知っている 二叔は君たちの命運を握り、利用して爺爺を追い詰めている 三叔も陰険で何を考えているか分からない 私は…爺爺を守って戦死したい、そうすれば後世で廃位された太孫と言われずに済む はあ~…爺爺に報告して君を自由にしよう」「…手柄を立てないの?」「建文を見つけても殺すのは祖父の本意ではない、だが生かしてもおけぬ 確かに今までは手柄を立てたかった、二叔を弾劾するつもりだった だがつまらぬ争いをすれば私も二叔と同じだ」「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン」「ゆっくり休め…」すると朱瞻基は帰り際、ふと足を止めた。実は孫愚たちと″建文に会わせてくれるなら3万人の遺児を赦免する″と約束したという。驚いた若微は思わず席を立った。「…できるの?」「難しいな…」孫愚たちは骨董店からこつ然と姿を消した。朱瞻基は部下から恐らく掃討作戦だと報告を受ける。血痕はあるが死体はなく、護衛は殺され、多人数で襲撃した様子なのに兵馬司に動きがなかった。「常人にはできぬ所業です」一方、朱高燧は鶏鳴寺に父を訪ねていた。「例の者を捕らえ、囚人車で連れて来ております」そして証拠となる小さな武器を父に差し出す。「どこの物だ?」「調査中です」「共謀者を探し出せ、奴らの目的が何か、内通者がいないか調べろ」永楽帝は朱高煦との関係を心配していたが、朱高燧は関係ないと否定した。捕縛も秘密裏に行ったため朱高煦はもちろん誰も知らないという。「…高煦は自信家で、すべてが手中にあると思っている、そこが私とは違う」「二哥はやり過ぎる傾向がありますが、最近の瞻基の行動こそ目に余るのでは? 金令牌(キンレイハイ)を笠に威張っていることは都中の者が知っています」「中傷か?」「とんでもな〜い、かわいい甥ですよ〜とにかく私は父上の僕です」すると永楽帝は皇太子の店の様子を聞いた。朱高燧はあの計算高い皇太子妃のこと、売り物は不要な家具ばかりだろうと笑う。「恥知らずにも商売などして、二哥は苦々しくお思いです」朱高燧は父への報告を終えて帰ることにした。すると慌てて鶏鳴寺に戻って来た朱瞻基と出くわす。「何を慌てている?」「実は仲間が失踪しまして…」「失踪した仲間の名前は?私が探してやろう」「…どこを探すのです?北鎮撫司ですか?」「ふっ、天に誓うが、もし北鎮撫司に彼らがいたら私を殴ってもいいぞ?」どうやら本当に北鎮撫司にはいないらしい。「瞻基よ、二叔に楯つくな、父親に従うばかりでは後がないぞ? 市中で家具など売っている場合か?爺爺の不興を買っている、早く父親を連れ戻すがいい かわいい甥のためだから教えてやったのだぞ?」朱瞻基は慌てて祖父の元へ向かった。しかし侍衛に止められてしまう。「皇上はお会いになりません 伝言です、″金令牌を返却せよ、父親と家具を売るが良い″と…」朱瞻基は三叔父にやり込められ、祖父にも会えず、金令牌も奪われ、やり場のない怒りを抱えて鶏鳴寺を後にした。朱瞻基の怒りの矛先は市中で家具を売る父に向かった。激昂した朱瞻基は剣を抜いて客を追い散らし、父を東宮へ連れ帰る。「恥ずかしくないのですか!爺爺もお怒りです! なぜ父上は胸を張って生きようとしないのですか?!」しかし鬱憤を晴らしたくても父は暖簾に腕押し、頭を抱えた朱瞻基はお役御免になったと嘆いた。すると朱高熾は笑い飛ばし、悔しがる息子を尻目に、外へ行った方が良いと言って戸を開ける。朱瞻基は悶々とした気持ちをどこにぶつけたら良いのか分からず、長椅子に倒れ込んで涙をこらえた。そこで朱高熾は血気盛んな息子を戒める。「爺爺の寵愛さえあれば上りつめられると思わぬことだ 人から与えられるものは容易に取り上げられることもある …お前は爺爺に甘やかされた、私が注意しても馬耳東風だ 昨日まではその錦衣衛の服を着て意気揚々だった、調子に乗ると足をすくわれるぞ?」「…私が犬の世話をすれば(ゥッ…)満足ですか?」朱瞻基は涙声だった。朱高熾は仕方なく昔話を聞かせることにした。それはまだ朱瞻基の歳の頃、朱高熾は父が正気を失ったと思っていたという。しかし少し年を取ると、父の心中はとても計り知れないと思うようになった。実は靖難で使った武器は燕(エン)王府の地下で製造したという。父はアヒルやガチョウを飼い、その鳴き声で鉄を打つ音をかき消していたのだ。建文の部下は何も知らず、いつも武器庫の上を歩いていたという。「彼らは気づいていなかったが、その時、すでに彼らの命は閻魔大王に握られていたのだ 取られていなかっただけでな…」するとふてくされていた朱瞻基が起き上がった。「当時、私は燕王府の政務を執っていた、屋敷にいるのは正気を失った父と敵だけ 真相を知っているのは私ひとりだった、あの時、私は悟ったのだ 人間の心ほど、この世で恐ろしいものはないのだと… 今も父の心は何を考えているのか到底、計り知れない 叔父たちのことなら好きに騒がせておけばいい、私はお前とお前の娘(ニャン)の命を守る」朱高熾はしみじみ臆病でいるくらいがちょうどいいと言った。「年を取ると歯は抜けてしまう、だが舌は残るだろう? 引っ込めて生きている方が長生きできる」朱瞻基は父の胸中を知り、すっかり立ち直って出て行った。朱高煦は趙王府を訪ねた。何やら機嫌が悪い兄に困惑する朱高燧、実は何度も鶏鳴寺に足を運んでいると二兄にばれていた。「教えろ、父上は何を考えている?」「父上に怒られてばかりの私が二哥に何を教えろと?あははは~♪」その時、趙王妃が酒肴の準備ができたと声をかけ、運良く話は断ち切れとなった。一方、朱瞻基を追い返した永楽帝は若微と球遊びに興じていた。若微は永楽帝が転がした球が指した方位盤を見て尋ねる。「志なければ神を頼む必要なし、何か望みは?」「あるとも、100年後、200年後にお前たちの子孫は私をどう見るか?」永楽帝は領土を倍にしたと誇り、自分ほど功績を残した皇帝がいるかと聞く。「偉大な皇帝の武功には及ぶ者なし… でもあなたのその偉業の裏で何人が白骨に化したと?何人の涙が流れたの?」今度は若微が球を投げたが、永楽帝が転がってきた球を止めた。「怖くないのか?」「私は一度、死んだ身…怖くないです 昨夜、夢を見ました、母に会ったの…母を亡くして分かったわ 母のそばにいた時が人生で一番、幸せでした…だけど2度と戻れない」「そんな話を聞いたら、私は黄泉で何と言えばいいのか…靖難のことは?」「…知っています」「私は大きな過ちを犯した、償いをしたいと心から思っている…はあ~ やめよう、興がさめた」若微は思いがけず永楽帝の苦悩を知った。一方、趙王府では王妃が漢王に秀女に誰を推薦するのか聞いていた。「太子の長子の婚儀は一大事です 皇上が太子だけでなく私たちにも推薦しろと命じたのですから、無視できません 私の推薦した娘が嫁げば、半分は姑になれるかも…」朱高燧はバカな話をするなと王妃を下げ、実は二兄が喜ぶ話があると切り出した。つづく(  ̄꒳ ̄)半分は姑?漢王がピコーン!となっていそうw朱瞻基のパパだけあって、皇太子はやはり只者ではありませんでしたね〜