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カテゴリ:本
黎明の星
書評/SF&ファンタジー 久しぶりにSF小説を読みました。 著者は、ジェームズ・P・ホーガンです。 学生の頃、一時期このホーガンのSF小説を続けて読んでいました。 「巨人たちの星」「ガニメデのやさしい巨人」「創世記機械」「未来の2つの顔」。。。タイトルを空で言えるぐらい感動して読みました。 この著者の書くSF小説は、ハードSFと言われています。 ハードSFとは、内容が硬いんです。つまり科学的な理論構築がしっかりされており、その上で物語が論理的に展開します。突っ込みどころのない大河ドラマのようなところで、結論に納得がいきます。 ただ小説を読むときに出だしが硬いので、なかなか感情移入できません。それは物理学やコンピューターサイエンスなどがちりばめていますが、論理構成がしっかりしており、それをある程度理解した上でないと先へ進めないのです。無理に先へ進むことを許しません。もちろん、あくまで小説のことですので完璧に理解する必要はありませんが。 この「黎明の星」も同じくハードSFです。 文庫本で上下合わせて600ページを超えている大作です。 最初は科学技術の話がたくさん出てきて、理科系オタクにはたまりません。それからゆっくりと物語が展開していきます。 この小説は3部作の2作目ですので、少し前提が必要です。最初はその前提となる話から始まります。少々奇想天外な過程なので、違和感を覚える人もいるかもしれません。 木星の渦から小惑星「アテナ」が生み出されます。その小惑星は太陽系の起動に入り、地球の軌道に入り、地球と接触します。。そのため地球は数百メートルに及び波が起き、火山活動が始まります。脱出することのできた一部の人間を除いて人類はほぼ死に絶えました。 災害のおきる前に地球を飛びだしていた「クロニア人」がいました。 クロニア人は地球から飛び出した理想主義者でした。地球の争いごとに嫌気をして土星の衛星で新しい生活の拠点を作っていました。科学を探究し人のために貢献することに意義があり貨幣制度を捨てた、新しい考え方を持った人類です。 そんなクリニア人が間一髪で地球を飛び出した「地球人」を救い、、地球の再建を始めることになりました。 物語の科学では、地球はもともと土星の衛星で生命をはぐくんでいたこと、火星と接触して水を増やしたことなど、現代科学とは異なる事実をベースに積み上げられています。そのことは歳をとって少々頭の固くなった私には重荷ですが、まったく別の世界のなかで論理が組み立てられているのは興味深いと思います。 唯一難を言えば、小説の最後の展開が急で論理的に積み上げられたものでないことでしょうか。現実は、予測不可能なことの連続の成果なのかもしれませんが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.07.23 13:34:05
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