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テーマ:スチュワーデスの話(30)
カテゴリ:Flight Attendant
私は日本で生まれて、日本で育って、両親とかバイト先の店長とか、また世間から「お客様は神様」みたいに教わった。もちろん本当に神様なわけではないけど、そういう風に大切に扱うってこと。 今日、普段は普通な私だけどちょっと嫌なことがあった。・・というかかなり自分にとってムカッときた。 それは、ファーストクラスのお客様がビデオシステムの使い方がよく分からないので教えてほしいといってきた。そのエアクラフトは新しかったためにインストラクションがまだシステムにインストールされておらず、またお客様のお座席にも入ってなかった。新しいシステムのために私も、また一緒に働いてたもう一人の乗務員も使い方がよく分からず、お客様に「申し訳ございません、ただいまリーダーを呼んできます」みたいなことを伝えたら、そのお客様がかんかんになって怒り出した。「お前たちの会社はそういうこともトレイニングしないのか!」と。私はすぐにリーダーを呼んで助けを求めた。そのお客様は自分の観たかったビデオを間違って消してしまい、巻き戻しをしたかったらしく、最後の30分が見れないとかんかんだった。結局、リーダーもその問題を解決することはできなかった。 もう一人私と働いていたファーストクラスの乗務員はそのとき、お客様に向かってものすごい目つきでこのような態度をとった。「あなたが誰かは知らないし、いくらファーストの客だっていってもそういう態度を私にとるのは許さない」 私は間違っているのだろうか。でも、そのとき私はお客様に怒りを感じる前にその乗務員にかぁ~!!っときた。もっとほかの言い方があるだろう!それでもプロの乗務員!? 私は彼女が見てない隙にそのお客様の座席に行き、謝った。そして、自分ももし同じ立場にいたらかなりイライラすると思います。本当に申し訳ありません、といった。そして、お客様にコメントカードを書いていただくようお願いし、今後のサービスの向上に向けて努力すると述べた。お客様は、最初は苛立っていたものの、最終的には話を聞いてくれただけで良かった・・みたいにいってくれた。 ・・・そう、私はそう思う。怒ってるお客様とか、苛立ってるお客様ってただ人に自分の話を聞いてもらいたいだけなんだって。そして、ちょっとその聞く耳を持つ態度でお客様に接すると結構うまくいくって。 一緒に飛んでいた乗務員の人は私にこういった。「あなたのその典型的日本人みたいなところ直したほうがいい。あなたおかしいわよ。客より何より自分をもってないの?人に対して優しすぎるわよ。そういうあなたのこと見ててむかつく。」 私は、彼女に「いくらアメリカにいるからって自分の考えを曲げるつもりはない。別に自分を下げてるわけではなく、人として、その人の身になって考えてお客様に精一杯接したかっただけだ。その態度や、また優しい言葉ひとつでイライラしてたフライトが実は二度と忘れられないものになるかもしれない。」と言った。 結局そのお客様は最後に私に笑顔を残して帰っていった。 この私たちの客室乗務員という仕事はもちろん保安要員ということもあるけれど、サービス精神も絶対に忘れてはいけないと思う。自分の会社のレプレゼンターであるわけだし、たった小さな笑顔や、一言がお客様の心にずっと残り続けると思うから。そして、私はそのために客室乗務員になったわけだし。しかも、エコノミーや、ファーストクラスを差別するわけではないけれど、ファーストクラスに乗ってくるお客様は結構ずっと前から楽しみにして乗ってこられるお客様が多い。それを、最悪な思い出にしたくない。できれば、どういうテクニカルイッシューなんかがあったとしても、最後にはいいフライトだったと思って帰ってほしい。 そう考える私はやっぱり日本人・・ってだけなのかな。でも私はがんばりたい。一人でも多くの自分の接したお客様には幸せな気分で帰ってほしい。もう二度と会うことのない人たちかもしれないんだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年05月27日 17時52分16秒
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