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2007.03.14
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カテゴリ:BLEACH
イチルキ小説続きです。
嫌な方は気をつけてください。





「一護っ!」

相手は『人間』と言われ

一瞬の躊躇の隙をつかれ

細面のどちらかといえば

貧弱そうな体躯の腕に

軽く捉えられてしまった。

「くっ!
なんだ、コイツ?
なんつう馬鹿力なんだよ!?」

「バカ者!
だから気をつけろと言ったではないか!」

「何という、何という霊力だ!
すばらしい!
実にすばらしい!
久しく出会ったことのない程大きな…まるで神気に近い霊力だ。
私にも在りし日の力がみなぎってくるようだ。
しかも、貴様の力は尽きる事がないのか?」

「ううっ、
て…てめぇ
人の霊力、勝手に奪ってんじゃねぇ…!」

「貴様のように霊力を無駄に垂れ流し続けるだけなら
有効利用してやるのが親切というものではないのか?」

「どいつもこいつも…!
垂れ流しとかいいやがって!
こっちだって好きで垂れ流しているんじゃねぇんだよ!」

「蒼火墜!」

詠唱破棄でルキアが放った鬼道は相手をそれた。

「…邪魔立てするな。女。
おまえも霊力があったのだな?
それにしても、なんだそれは?
こやつを思って力を加減したのか?
いずれにしろそんな攻撃は我には効かぬ。
邪魔立てするなら貴様から相手をしてやる。」

「来るな!さがってろ!手を出すな!ルキア!」

「馬鹿者!そういうセリフはそやつの手から逃れてから言え!」

「こんなやつ、ちょっと本気出せば軽いんだよ!」

「あまり相手を見くびるのではない!たわけが!」

「うるせぇ!いいからさがってろ!」

言って捉えられた腕から逃れ

形勢を返しかけた一護だったが

相手が刀傷を負って

ドクドクと血を流し

膝をつくのを見て怯んだ。

その隙を見逃さず

動いた相手に

攻撃を受け飛ばされてしまう。

「一護!」

駆け寄ろうとするルキアよりはやく

人の身に宿った人でなき者が

ぐったりした一護の体を掲げ上げる。


ルキアはもう一度、鬼道を放とうとして

逆に鬼道とは似て非なる力に

飛ばされてしまう。

受身をとって最悪のダメージはなんとか

逃れた。


動かない一護と

不敵に笑う

人ならぬ者。


『こわい』と感じた。


ホロウに対してでさえ

未だかつてこんな恐ろしい想い

を抱いた事はなかった。

もしも

このまま

あのブラウンの瞳が

私を映す事がなくなってしまったら

眉間にしわを寄せたまま

口元をゆるませて

笑む顔を二度と見ることが

出来なくなってしまったら


失くさせはしない!


絶対に!


大切なものは

もう二度と



ありったけの霊力をこめて

鬼道を放とうとした

ルキアを遮るかのように

光の玉が現れる。

そしてそれはまっすぐに

社殿のほうへと飛んで行く。

今度は迷わず

ルキアはその後を追った。

社殿の奥にかかる

弓の前でそれはとまった

「これを使えというのだな?
…しかし、弓だけではどうにもならんぞ。」

その言葉に呼応したかのように

光の玉はお守りなどが置いてあるところへ行き

ある一点でとまった。

「破魔矢か?
これをアヤツ相手に使えというのか?
果たしてこんなもので応戦できるのか?」

一護のいる神社の裏手で

ひときわ大きな音がして

その方へと飛び出した。

どうやら一護は無事だったようだ。

ホッとしたルキアだが

いつもの一護とは違う

様子をいぶかしむ。

霊力を吸われて

力が出せないでいるようだった。

おされている。


光の玉がなんなのか知らない

本当にこれで良いのかも

わからない

ただ

なにもしないで

大切なものが

失われるのを見ていることなど

出来なかった。


どうか

どうか願わくば

あの輝かしい者の命の火が

出来るだけ長く灯り続けますように

そして…


「よけろ!一護!」


想いをこめて引いた弓は

まっすぐに飛んでいった。


「ってぇ…。
ルキア!
てめぇ!
俺を殺す気か?!
危うく俺ごと射ぬかれるとこだったじゃねぇか!
味方に向かって攻撃するとはいい度胸じゃねぇか!
ああ?!」

「だから避けろと言ったではないか。
現に貴様には当たっておらぬ。
ごちゃごちゃ言うな!このたわけ!」

「だ~か~ら~!避けなきゃ確実に
当たってたって言ってんだろうが!!」

「声を掛けたのに避けられぬような
どんくさい味方ならそれまでの話だ。」

「…おっまえ!ホントかわいくねぇ!
つうか最悪のパートナーだぜ!」

「かわいくなくて悪かったな。
…やめるなら、今だぞ。」

「冗談じゃねぇ!
そのうちおまえに
頼りにしてるって言わせてやる!
それまでは絶対おまえの代行業は降りて
やんねーから覚悟しとけよ!」

そういってそっぽを向いた一護の様子に

ゆるんだ口元を隠しルキアが言う。

「ところでパートナー殿!
敵の正体を見極めなくて良いのか?」

「あ?お?なんだ?この
犬っころみたいなのは?」

「犬というより、狐のようだが?」

「キツネ?にしちゃヤケにちっこくないか?」

「ふむ。そう言われて見れば…。
ひょっとしてムジナか?」

「ムジナぁ?
って、何?」

「ムジナも知らんのか?貴様、無知な奴だな。」

「おまえに言われたくねぇよ。おまえにだけはな。」

「ムジナというのはこういう生き物だ!
ホラ私が親切に絵に描いてやったぞ!」

「余計にわからなくなった…。」

「ムカッ、まあ、貴様が知らぬのも無理はない。
ムジナというのは…。」

「私はムジナではありません。」

「ああ、そう。ん?
なんだ一護変な声を出すな。」

「俺は何にもいってねぇよ。」

「?
そうか?」

「あの、私はこれでもキツネのはしくれです。」

「おわっ!犬がしゃべった!」

「だから、犬ではありませんってば!」

「一護!こやつ見世物小屋に高く売れるぞ!」

「今時見世物小屋なんてないっつうの!
ああ、いかん、ツッコミどころはそこじゃなかった。」


                    続










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Last updated  2007.03.14 16:23:39
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