パッションフルーツの話
我が家の庭先に一本の楠がある。春の季節は一段と青々として眺めるだけでも気持ち良い。その根元に数年前、パッションフルーツの苗を植えておいた。その苗、モヤシを更に小さくした代物で弱弱しくも見えた。苗は、ご年配のKさんから頂いたものだった。「この土地は肥えてるから山中がパッションフルーツの山になりますよ」と云う。こんなちゃちな苗がそんなに勢いあるとは思わなかった爺さん、草取りや水掛も忘れずに手入れした。苗はやっと楠めがけて這って行った。待てど暮らせどの甲斐あって、一昨年数個の実が付いた。田舎者の爺さん、トロピカルフルーツと聞けばパイナップル位しか知らなかったが、初めて口にした味は、爺さんを都会人にした。「パッションフルーツって知ってますか?」と自慢げに云っては、知らないと答えが返ってきたらインターネット検索で知った知識を得意げに話す始末。一昨日、楠の下に薄汚れた白い花が散っていた。見上げるとトケイソウの花みたいな花が付いていた。バンザ~イ!と云った爺さん、早速見上げたら卵大の実が十数個以上もなっていた。待ちに待った甲斐があり早速Kさんへ報告しようと思ったら、腎機能が悪化して透析を受け入院中との事。パッションフルーツが熟したら届けたいと思っているが、空に向かって栄えるパッションフルーツを見せてあげられたらと思った。パッションフルーツはこちら