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カテゴリ:北朝鮮問題の分析
北朝鮮最大の節日である金日成の誕生日、99回目の「太陽節」が、今年も盛大に開催された。多くの軍人と住民たちは金日成の銅像に花を捧げ、街のあちこちでは所謂「忠誠大会」が開かれ、間近に迫った2012年の強勢大国実現のビジョンを、精一杯盛り上げようという雰囲気だった。 何よりも今回の太陽節で注目された部分は、金正日の3男である後継者の金正恩(28)に関する北朝鮮政府の行動だった。13日の官営放送朝鮮中央テレビでは、朝鮮国立教養楽団が彼を賞賛する第1号の歌『足取り』を演奏する場面が放映された。2009年から政府によって住民たちに広められ、金正日の前での公演も1回放映されたこの歌は、「コツ、コツ、コツ、我々の金大将の足音…2月の気候を後に…全国民が従ってコツ、コツ、コツ」という歌詞から分かるように、金正恩を人民の指導者として露骨に賞賛する内容である。 金正恩権力を正当化するための「革命2世代体制」の完成 しかし、何よりも後継体制を堅固にする野心は、比較的静かな所に見られた。軍部の人事異動である。政府の公式発表によると、太陽節の数日前に、オ・イルジョン(57)党軍事部長とファン・ビョンソ(62)党組職指導部副部長を中将から大将に昇進させ、総計で大将2人、中将5人、少将38人が進級した。今回の昇進命令で、金正日は彼らに「党の領導に忠直に奉じて、白頭で開拓された主体革命偉業を完成して行くための闘争で、本分を発揮するように」と語ったとされ、彼らが次世代の金正恩体制の核心メンバーとして活躍するだろうと示唆した。 その内でも特に目を引く人物は、人民武力部長だったオ・ジヌ(1995年死亡)の息子のオ・イルジョンである。金正恩が軍事部委員長になった去年9月の党代表者会の当時、チェ・ヒョンの息子のチェ・リョンヘ(61)、オ・ベクリョンの息子のオ・クムチョル(64)と共に、革命第1世代の後孫として中将に昇進した彼は、以降7カ月で大将になった。これは全面的に金正恩ゆえに可能だったことであり、まさに超高速昇進である。 いわゆる「革命第1世代」の息子たちである彼らが、後継権力構築と重なって要職に配置された理由は、金正恩の「正当性」を保証するためである。既に去年から祖父の金日成と似た外貌に飾り立てられ、「正当な指導者」イメージを作るのに成功した金正恩にとって、現時点で安定した権力承継のために必要なのは、周囲の人間である。特にオ・イルジョンの場合、父親のオ・ジヌが金正日と非常に親しい関係にあったものとされている。 すなわち、金正日が70年代の後継競争当時、オ・ジヌのような革命第1世代たちの助けを借りたので権力を掌握することができたように、彼の後継者である金正恩も徹底的に世代継承の概念を生かして、意識的に集結を図っているように見られる。この過程で、当然3代世襲の不当性といった人道的問題など目に入るわけがない。初めから金日成血統中心の世界観に自ら騙されている状態なので、このような権力承継は大変合理的なことである。 誰のための3大世襲? 一方、14日に北朝鮮政府がキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長の主催で開催した太陽節記念報告大会で、金日成、金正日に対する賞賛文句は多かったが、金正恩は言及さえされず、外部から疑惑が集まった。もしこれが、今月8日に開催された最高人民会議の結果に関して提起された解釈と共に「速度調節」のためなら、金正恩が「強勢大国プロジェクト」に全面的に参加するのは難しいようである。世代継承の形が確立されたら、その後に金正日の領導力の誇示が従うだろうと言うのである。 3大世襲過程は金正恩の全盛期導入と言うよりは、金正日の全盛期絶頂と評価することもできるかもしれない。革命第1世代と第2世代を繋ぐ架け橋的な役目として、彼が崇め奉られる時期だからである。北朝鮮が主張する2012年強勢大国の年を前に、一連の後継構築作業が性急に進められるのは、「金正日の歴史的意義」を完成するためではないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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