国際的環境で排他的な中国
私たちが北朝鮮問題を語る時、中国の問題がいつも変数として浮び上がる。北朝鮮は既にかなり以前に亡びなければならなかったし、そのようになり得る機会が数多くあった。しかし中国が後に控えていたので、北朝鮮が未だに存在しているのである。韓国戦争(6.25)当時も中国の介入がなかったら、北朝鮮は地球上から消滅していたはずである。これまで北朝鮮はあらゆる悪行を遂行して来たにも関わらず、中国が守ってきたので、困難な経済条件の下でも北朝鮮の命脈は延命したのである。しかし中国も今や限界点に達した。何故ならば、アメリカと中国の関係が微妙に変化しているからである。 最近、アメリカは中国を新しい戦略で圧迫している。第1は軍事的な圧迫であり、第2は経済的な圧迫である。現在、中国が航空母艦を2012年を目標に建設中だが、完成しても実戦への配置は更に14年掛かるという。中国がアメリカに対抗するために軍備増強を試みたところで、到底アメリカを超えることは出来ず、国力の無駄使いに終るだろう。第1に、中国はアメリカの軍事的に威圧の中にある。アメリカと韓国が中国の近海で合同訓練をする際に、アメリカの航空母艦が動員されることを非常に反対する理由は、それが中国の経済に莫大な悪影響を及ぼすからである。 ***主要国家の経済指標(2009)***国家購買力基準 GDP1人当たりの国民所得の軍事費用アメリカ 14兆2,600億ドル 46,400ドル(GDPの)4.06% 日本 4兆1,370億ドル 32,600ドル 0.8% 韓国 1兆3,560億ドル 28,000ドル 2.7% 北朝鮮 400億ドル 1,900ドル 7.6% 中国 8兆7,890億ドル 6,600ドル 4.3% ロシア 2兆1,160億ドル 15,100ドル 3.9% 第2に、経済的な理由がある。無知な学者たちが中国の経済を恐れて「G2」を語り、間もなく中国がアメリカに追い越す経済大国になるだろうと錯覚している。しかし、中国がこれまでに経済成長を果たした理由は、アメリカの市場のおかげである。輸出主導の中国経済は、殆ど全ての資産管理をドルでして来た。従ってアメリカ経済が搖れたら、中国経済も同時に搖れなければならない。市場経済の原理に立脚して、特に世界的な相互依存度に国家の運命が左右されるこの時代に、共存共栄の原則を無視して自国の利益だけに没頭した中国が、為替を国家の統制で固定させたので、米中貿易に不均衡が生まれ、その悪影響が全世界に経済的不均衡という結果をもたらしたのである。 今回、米下院でアメリカだけが損をし続ける貿易慣行を改善するために、仕返し関税法を通過させた。アメリカがWTOの反発を無視してでもこの法律を発動するとしたら、中国の経済は駐車場(行き止まり)にたどり着かなければならない。それだけではない。アメリカは中国がイランと北朝鮮に核兵器開発を助ける経済支援をしたという十分な証拠を持っている。これを口実に中国に金融圧迫を加えるようになったら、中国の経済は集中治療室(重症患者)に入らなければならないだろう。 中国は14億人の人口の中で9億7千万人が絶対的な貧困層に属し、55種類の少数民族間の葛藤と、膨大な貧富の格差がもたらす社会的矛盾、国際社会が見守る中での中国の猪突的な利己主義に対する憎悪など、乗り越えなければならない問題が山積になっている。これまでお金は沢山儲けたとは言うが、中国はまだ共産主義国家なので、社会的不満と矛盾を解決するには長い年月が必要である。中国が今後100年間にアメリカを追い越す国家になるのは難しいという理論を主張した学者の中には、イギリスの戦略家のジェラルド・シガール、日本の評論家の松村励、アメリカの未来学者のジョージ・フリードマンなどがいる。その中でジョージ・フリードマンが書いた『これからの100年』という本には、具体的な理由が列挙されている。経済成長の4大基本要素は、「土地、労働、資本、そして技術」である。中国は膨大な土地と安い労働力を確保しているが、資本は殆ど外部から入って来た投資性資本で、技術は殆ど全てがロイヤルティーを支払う外国技術である。経済運営で一番核心的な要素が技術なのに、中国は基礎科学に立脚した「源泉技術」、または「自国開発技術」がない。1900年代を前後して世界最大の技術先進国はイギリスだったし、20世紀の半ばまではドイツだった。世界2次大戦以後はアメリカである。全世界が共有している科学技術を100とした時、中国の自国技術は1つもない。現在、世界経済で活用している細部先端技術364個中で、アメリカが270個、ヨーロッパ連合が60個、日本が34個を保有している。しかし中国はただの1つも世界最高先端技術を保有していない。全て「模倣、応用、変形、類似」技術である。5年後にはアメリカが275個に増加して、ヨーロッパ連合が55個、日本が33個に減少して、中国が医療分野で1個を持つようになるという。 今は安い労働力のおかげで中国経済が高空飛行をしているが、経済成長はいつか「飽和状態」、または成長「スレッシュ・ホールド(critical point)」に到達する。その時がいつか?労働生産性が低下し始める時である。成長「スレッシュ・ホールド」に到達したら、賃金上昇の圧迫が一次的に現われて、技術先進国との市場競争で遅れ始める。その時、「収穫体感の法則」に従って、「収穫逓減(diminishing return)」現象が現われ、既に展開した経済構造はむしろ国家経済を害する「高くて無駄なもの(white elephant)」になってしまう。中国の経済は今、その道を歩んでいるし、安保外交面でも国際社会で憎まれる役だけを選んでしている。 やがて、中国は北朝鮮の面倒を見なければならない余力を喪失するようになる。国際社会で中国は、ますます「醜いアヒルの子」になっている。このようなことがどうして発生したのか?中国が人類の平和と公栄に寄与しないで、自国の利益だけを追求する「chauvinistic nationalism」に没頭し、北朝鮮のような「文明の破壊勢力」を庇護して来たからである。