歌詞小説ーK
学校で暇つぶしにちょこちょこ書いてた歌詞小説(※BUMPの歌詞をもとに書く小説)をブログに載せる事にしました。さて。記念すべき第一回を飾るのは…ココの名前にもなったholy knight…そう、K!!!では早速…------------週末の賑わう大通りを、俺は独りで歩いていた。俺の自慢の鉤尻尾を水平に立てて、威風堂々と……でも、どんなに堂々と歩いても、世界は俺を見てくれない…闇に溶けるようなその漆黒の体のせいで、おれは忌み嫌われ、人間からは石を投げられた。「黒猫」と言うだけで…でも、孤独には慣れてる…いや、むしろ望んでるさ。誰かを思いやることなんて煩わしいだけだから…俺は独りで歩いて行ける。と思ってたのに突然俺の前に立ちはだかり、俺を抱き上げた人間が居た。そいつはどうやら絵描きのようで、絵の具に汚れた服を着て、にっこり笑って俺を見た。「今晩和」なんだよ、又嫌がらせかよ。逃げようと思ったその瞬間、そいつの口から飛び出した。「素敵なおちびさん、僕らよく似ている」俺ははっとした。そしてそいつの腕の中でもがいて、引っ掻いて、なんとかそいつから逃げ出した。走って、走って…「孤独」と言う名の逃げ道を真っすぐに突き進んだ。後ろからそいつの気配を感じた。嫌だった訳じゃない。ただ…生まれて初めての温もりと優しさが… 未だ信じられなかった… どんどん逃げた俺だったが、結局アンタに捕まった。どこまで逃げてもついて来た。参ったよ…こんな俺を選ぶなんて、アンタ相当変わってるな… それから俺たちは一緒に暮らし始めた。2年が過ぎて、俺等の嫌いな冬が来た。でもアンタの温もりは、雪さえも溶かしてしまいそうなくらい温かくて…俺はほっとした。そんな俺を、アンタは毎日のようにスケッチブックに刻んでいき、生まれて初めて名前をくれた。黒き幸Holy Nightースケッチブックはどんどん黒に染まってゆく…でもアンタはそんな事おかまいなし。俺は、そんなアンタが大好きで、どこに行くにもついて行った。これからも、ついて行くつもりだった。それなのに…… 貧しい生活のせいで、アンタは倒れた。そして 心配して顔を覗き込んだ俺に、最後の力を振り絞って書いた手紙を持たせると、蚊の鳴くような声でこう言った…「走っ……て…走…って……手紙を…届けてくれ…」「夢を見て……飛び…出した…僕の帰りを待つ…………恋人に」不吉な黒猫の絵なんて売れないのに…俺ばっかりを描くから…アンタは冷たくなったんだよ……他の絵を描いてりゃ、生きれたろうに…でも…アンタの最後の願い、忘れはしないぜ。 手紙は確かに受け取った!! 雪の降る山道を、俺は走りに走った。アイツとの最後の約束を、この口にしっかりと銜えて。 「見ろよ!悪魔の使者だ!!」子供が俺をめがけて石を投げて来た。昔の俺だったら、いちいち凹んでたんだろうな…でも今は違う!!何とでも呼べば良いさ!!俺には…… 「消えない名前」が有るから!!! Holy Nightー聖なる夜と、アンタは呼んでくれた。優しさも温もりも全部ひっくるめて、俺をそう呼んでくれた。忌み嫌われた俺だったが、この世に生まれて来た。その意味がアンタの為なのなら、俺は…… どこまでも走るよ ーーー そして俺は、ようやくたどり着いた。アイツの故郷に…恋人の家までは、後数キロでたどり着ける。俺は走った。が、俺の足はもう既に、歩くのもままならないくらいに衰弱していた。もう、満身創痍だ……が、俺は全身の力を足に込めて、立ち上がろうとした、その時…突如目の前に、暴力と罵声が広がった。俺の弱り切った体は悲鳴を上げながら、地面をされるがままに転がった。負けるもんか…俺は聖なる夜……こんなもんに負けてたまるか!俺はようやく立ち上がると、ふらふらとした足取りで先を急いだ。歩くたびに、俺からは緋色の鮮血が滴り落ちた……そして…やっと見つけた!ここだろう?ここなんだろう?恋人の家は…安心し切った俺の全身から力が抜けていくのを、俺ははっきりと感じた… 玄関のチャイムが鳴った。私の家を訪ねてくる人なんて居ないから…私は不思議に思いながらドアを開けた。ドアの外には、全身傷だらけの黒猫が横たわっている。その猫の口には、血に濡れた手紙が…猫は弱りながらも尚、手紙を私の方に突きつけて来た。私は猫を抱きかかえると、その口から手紙を優しく受け取った。それは、あの人からの手紙だった。涙が溢れて来た。何年も前に街を飛び出したあの人は、死んだ…最後まで、私に謝り続けながら…「何年も忘れずに、僕を待って居てくれて、ありがとう…」手紙の最後にはそう書いてあった。私は涙を拭うと、黒猫に向かってこう言った。「手紙を…届けてくれてありがとう…」 が、 黒猫も既に… 息絶えていた ー 私は手紙に書いてあった猫の名前にアルファベットを一つ加えて、庭に埋めてあげた。 Holy K Nightー ー「聖なる騎士」と名付けて…… --------------ココまで読んでくれた人は、相当長い時間がかかったでしょうに……ありがとうございます。藤君の詩が好きだったので、台詞などは殆ど触らずに使わせて貰いました。又時間があったら書こうと思います。本当に読んでくれた皆様、ありがとうございました。