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カテゴリ:ゲーム関連(ネタバレ暴走気味)
今回のお話は幻想水滸伝シリーズの軍師について。
このシリーズは戦記物系のRPGなのですが、「軍師」すなわち戦術や戦略にスポットを当てている所に妙があります。 そんなわけで、戦術・戦略から見た幻水軍師を語ってみたいと思います。 ~シルバーバーグ家~ 幻水の軍師と言えばシルバーバーグの系譜と言われるほどに、過去シルバーバーグの関わらなかった幻水シリーズは5しかありません(というより、5でようやく縁が切れたというべきでしょうか)。 それほどまでに重要な位置を占めていたわけです。 シルバーバーグ家は赤月帝国の貴族ですが、赤月帝国以外でも広く活躍していますね。 1.マッシュ=シルバーバーグ 栄えあるシルバーバーグ第1号。 争いが嫌いで、手段を選ばない叔父に反発して出奔、隠遁する。 妹オデッサや坊ちゃん(1主人公)らに動かされ、赤月帝国打倒の兵を挙げる。 最終的に帝国を打倒することには成功するが、サンチェスに刺され、その傷が元で死亡する。 軍師としての能力は純粋軍事的戦略型、比較的オーソドックスに結ぶべきところと結び、攻めるべき所を攻めた。 奇策としては、北方攻め(モラビア城攻略)の際、解放軍(主人公側)とも赤月帝国からしても共通の敵である北隣のジョウストン都市同盟の軍をおびき出して、一時的にモラビア城を彼らに占領させたこと、1晩で氷の船500隻を造りあげたことがあげられる。 前者は一見すると自国領土を他国に引き渡す行為であるが、両国の国境は不毛な荒れ地が続いている為に兵站を維持するのが難しく、またモラビア城周辺も民間人のない単なる軍事拠点であったことから、これが可能であった。 性格は優しくて責任感も強く、人間としては尊敬に値するものですらあったが、それ故に落命したと言える。軍師としてマイナス面と見るべきかも知れない。 戦術:8 戦略:10 奇策:9 非情:5 実務:8 タイプ:王道 2.レオン=シルバーバーグ おそらくはここで挙げる軍師の中でもナンバーワンの実力者。 マッシュの叔父。カレッカ事件を計画、指揮した張本人。 その後隠遁するものの、やがてマッシュに請われ解放軍へ。 ここでは目立った活躍はなかったが、彼の真骨頂は2にて明らかにされる。 2ではジョウイの参謀となり、ルカ=ブライトを死に至らしめるなど物語全般を支配した。 最終的に甥の弟子であるシュウに敗れ、その後行方不明。 軍師としての能力は完全に近い。軍師というよりは遠謀深慮の戦略家、あるいは歴史を作る者であろう。 幻想水滸伝における彼の最大の特徴は、個人に対して腕を振るうのではなく、自らの思想に基づいて腕を振るっている点である。 彼の思想は非常に大きな視点に立っており、「どうすればより良く、より効率的に歴史が発展するか」「どうすれば犠牲を最小限に抑えて戦争を終結させられるか(戦争自体が発展の妨げである為)」に集約される。 1であれば、赤月帝国の内乱は解放軍の勝ちが見えてきた頃の参戦で、自らが加わることにより、内乱終結を少しでも早めようとしている。 2であれば、デュナン地方を強力な国家に治めさせようとしている点にある。 彼の信条は銀河英雄伝説のオーベルシュタインのものに近いと言えるだろう。少数の犠牲で全てが片づくなら、迷わず其方を切り捨てるタイプである。自らの思想と主君の行動目的が一致しない場合、その主君をいとも簡単に切り捨てる。 さらに言えば、敵対している人物ですら、これはと思えば味方に引き入れたり、あるいは(味方をわざと敗北させてまで)後事を託したりしている。彼が個人の為ではなく、信条の為に腕を振るっている表れと言えよう。自らが戦場で勝利するのではなく、自らの思想が歴史の上で形を作っていけば、それこそを勝利とする人物である。 ※2において、彼はシュウに「強力な統一国家を樹立させる」ことを焚きつけたのだと解釈したが、そのシュウ自身が引退したことによって、その構想は崩れている(デュナンはテレーズが指導者となった) 戦術:9 戦略:10 奇策:9 非情:10 実務:9 タイプ:深慮遠謀 3.シーザー=シルバーバーグ レオンの孫。 英雄戦争に現れ、グラスランド連合軍を勝利に導く。 肝心の軍師としての能力だが、評価はかなり難しい。 確かにこと軍事・アイデアに関してはなかなかのものがあるが、全体的な戦略面ではサロメに劣る印象が強かった。 戦術:8 戦略:6 奇策:9 非情:7 実務:6 タイプ:天才アイデア肌 4.アルベルト=シルバーバーグ シーザーの兄(レオンの孫) 英雄戦争ではハルモニア神聖国の参謀を務める。 いつの間にか弟に負けていた。 ハルモニア神聖国で地位を得て、それを元に何かをするつもりらしいが、目的などは不明。 戦術:8 戦略:7 奇策:5 非情:8 実務:7 タイプ:天才 5.エレノア=シルバーバーグ マッシュやレオンの先祖。 赤月帝国で名を馳せた名軍師だが、戦争に嫌気が差し、群島諸国で隠遁していた。 4様(4主人公)、オベル国王リノらに請われ再び出世し、群島諸国連合を勝利に導く。 特に奇策を用いるタイプではない為、比較的低く見られがちであるが、彼女の恐ろしさは、主君すら葬り去ろうとするレオンに通じる思想にある。 万策尽きるのが早く、すぐに罰の紋章に頼りたがるという意見があるが、そもそも罰の紋章自体を使わせるのが目的ではなかっただろうか。じわじわと罰の紋章に命を削らせ、最終的(戦争終結後)には紋章ごと彼を大海に封印しようとしているのである。 また、群島諸国をまとめあげようとしていたが、これはリノも同じ事を考えており、むしろ彼女に期待されたのは実務能力ではないかという推察も可能である。 戦術:8 戦略:5 奇策:3 非情:9 実務:9 タイプ:憂慮 それ以外 軍師はシルバーバーグのみに非ず。 それ以外の軍師達も見てみよう。 1.シュウ マッシュの弟子であったが、後に破門される。商人として都市同盟で暮らしていたが、2主や妹弟子のアップルに懇願され、軍師となる。 デュナン統一戦争でハイランドを滅ぼした。 戦術家としてはともかく、戦略家としては師匠の叔父であるレオンに終始押され気味であり、常に彼の掌の上であった印象は拭えない。勝利すら、彼に譲られたもののに思えて仕方がないのだ。 反面、戦術家・奇策家としての能力は高く、「レオンの期待」に十分に応えたと言えよう。 最終的には彼が統一されたデュナンの実質的な指導者となることを思えば、レオンの目的である「強力な統治」は達成されているといえる。レオンの台詞とは異なるが、そもそも軍師同志の会話を鵜呑みにしてはいけない。行動や結果にこそ真相は隠されているのだ。 (今までそう思っていたが、どうやらシュウは引退し、テレーズが指導者となったと確認。となれば、最終的な勝者は彼となる) また、彼は表面はともかく内面は相当な人情家であり、2主が逃げ出した際も見捨てなかった。 戦術:9 戦略:6 奇策:10 非情:4 実務:9 タイプ:奇策家 2.アップル マッシュの弟子。 赤月帝国の門の紋章戦争、デュナン統一戦争、英雄戦争という大きな3つの動乱に参加。 目立った活躍は無かった。 天才のシュウとは対極に位置し、凡才であるが故に苦悩した人物。 自らの力ではなし得ないルカ=ブライトへの対処について、諦めずにシュウに頼み込み、その誠意を持って説得した。自らの恥や体面よりも目的を優先させたことだけでも、立派な軍師と言えなくもない。 戦術:5 戦略:7 奇策:4 非情:3 実務:8 タイプ:努力家 3.クラウス 父親であるキバ将軍直属の軍師。 敵である時は様々な知謀の冴えを見せたが、同盟側に降ってからは目立った活躍はなかった。 敵であった時のクラウスはなかなかのものである。トゥーリバーの弱点を見抜き、首脳達の仲を引き裂いただけではなく、ラダトの民衆をも上手く慰撫していた。 味方になってから、シュウに尽く見せ場を持って行かれている感が拭えない。 とはいえ、撤退する道を誤らなかったのは流石と言える。 戦術:7 戦略:7 奇策:6 非情:4 実務:7 タイプ:秀才 4.サロメ グラスランドの西、ザクセン連合の騎士。 誉れ高き6騎士の1人。 グラスランドの動乱(英雄戦争)では連合側につき、ハルモニア神聖国、ついでルックと戦った。 ザクセン連合の一員だけあって、外から見た奇抜なアイデアでこそシーザーには譲ってしまったが、それ以外の堅実な指揮や配慮、戦術戦略などは彼の方が上。もっと評価されても良い人物である。 戦術:8 戦略:6 奇策:7 非情;6 実務:10 タイプ:実務 5.ルクレティア グラスランドの大部族カラヤ=クランの出身 南の大陸に渡るが、当時の主君のゴドウィンと意見を違え、投獄される。その後ファレナ女王国の内乱でバロウズ派の客分であった王子(5主人公)の軍師となり、やがて彼を勝利に導く。 柔らかく、それでいて煮ても焼いても食えなさそうな物腰の軍師。 特筆すべきは、本拠地を捨てるという提案をしていることにある。 彼女もまたレオンと同じように自らの信条に基づいているようなフシがあるが、実際は王子という知遇を得てからは彼の為に采配を振るっていた印象があった。 基本的には自軍に有利な場所に戦場を置くことの得意な戦略家であり、ドミノ倒しのようにそれらを連結づけて構想を練っていたのだとも考えられる。 また、敵の打ってくる手の意図を見抜く能力が高い(つまり、情報分析能力が高い)のもプラスであろう。 戦術:9 戦略:9 奇策:10 非情:8 実務:9 タイプ:天才万能 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 24, 2007 05:48:17 AM
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