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Apr 28, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬無情剣

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      「騒乱江戸湊(12)

 十右衛門は朝日を背に浴びて奥山から、観音堂へと向かっていた。

 およねに引き留められ一泊しての朝帰りである。

 今までは女房の千代一筋で女遊びの経験のない彼は、任務を忘れ

およねに夢中となっていた。最近のおよねは十右衛門により、女の喜びを

知らされ、彼を満足させるようになった。

 初めはお勤めと思っていたが、最近、情がうつり離れがたい気持ちとなって

いる。年甲斐もないと思いながらも頻繁に通いつめていたのだ。

 妻の千代は火盗改方となり夜の帳が落ちると出かる、夫の行動をお勤めと

考えなんの疑念も抱かずに送り出していた。

 そんな千代には済まぬという気持ちもあった、それ故に暇があれば傘張りの

内職に精を出し、少しでも罪の意識を忘れようと努めていた。

 最初に訪れて以来、宗匠頭巾の武士も美貌の女も姿を見せない。

 それとなくお鹿婆や、およねに探りをいれるが、二人とも何も知らないようだ。

「まったく堕落したものだ」

 思わず独語し苦笑いを浮かべた。

 背後から数名の足音が聞こえ、長い影法師が十右衛門の足元に伸びてきた。

「ご免なすって」

 すれ違いざまに声を懸け、五名の人足が半纏、腹巻、股引姿で足早に通り

すぎた。

「おめえたちは大工かえ、新しい小屋がけでもあるのか?」

 十右衛門が職業がら声を懸けた。

「お侍さんはどなたで」

「火付盗賊改方じゃ」

「こいつはご無礼をいたしゃした、徹夜仕事で今から湯を浴びて帰るところで

ございやす」  頭分らしき男が挨拶した。

「そいつはご苦労じゃ」

 大工等は急ぎ足で遠のいて行き、十右衛門も疑問を抱かずに見送った。

 一方の古賀源次郎も何の手がかりも得ぬまま日々を過ごしている。

 最近は胴元の由蔵も、とんと姿を見せない。

 源次郎は一人身の生活で今年六十二歳となる母親の、内職に付き合い暇を

まぎらしている。夜にならねばお勤めには出られない、だが賭場に通いだし、

懐が豊かとなっていた。彼には博才があるようだ、滅多に大負けはしなかった。

 時折、十衛門と探索の成果を語り合ったが、お頭に報告すべきことは何も

なかった。しかし水茶屋も賭場も盛況で、金兵衛の話では賭場がもう一軒ある

ことを知らされた。それが収穫のすべてであった。

「源次郎、居るか?」  玄関から十右衛門の声がした。

「入れ」  声と同時に勝沼十右衛門が顔を見せた。

「朝から精がでるの」

 十右衛門の眼の前には出来上がった傘が山積みとなっている。

「こうでもせねば身がもたぬ、お主は朝帰りか」

「面目ない、女に蕩しこめられこのざまじゃ」

 十右衛門が苦笑いを浮かべた。

「ご新造に知れたらことじゃぞ」

「それは心配ないが、いささか手元不如意じゃ」

「お主らしくないの、女遊びがお勤めではない」

 源次郎が童顔を引き締め苦言を呈し、二両を十右衛門の手に握らせた。

「有難い、暫く拝借する」

「十右衛門、水茶屋は五軒あるの、その持ち主は分かったか?」

「全てが由蔵の名義じゃ。拙者が通う河内亭、その横の数寄屋亭、観音亭、

奥の神無月亭、万八亭。どれも水茶屋ではない、淫売宿に等しい地獄宿じゃ。

妓の数も百名をくだらない」

「一晩で大金が動くな」

 源次郎が厳つい顔の十右衛門をみつめ呟いた。


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Last updated  Apr 28, 2011 11:48:30 AM
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