~「事件」の系統樹~ 『理由』宮部みゆき著を読む
ブックバトンを頂いた時に読みかけだった宮部みゆきさんの『理由』を読了しました。宮部さんの本を読むのは『R・P・G』『長い長い殺人』に続いて三冊目、ふとした拍子に読む機会がありますね。今回は、図書館で返却棚に置かれていたのを見つけて読んでみようと思いました。さて、この作品を読んだ僕の印象としては、「事件の系統樹」「事件の三次元的構成」といったところでしょうか。解説でも引かれているますが、本書中に『磁石が砂鉄を集めるように、「事件」は多くの人々を吸い寄せる。』との一文があります。『理由』で宮部さんは、事件の被害者、加害者だけでなくその家族、関係者、目撃者その他多くの人物の現在・過去、もちろんその人物の事件への関わりなどを丁寧に記述していきます。その結果、「事件」に関わる人の膨大な系統樹が我々読者の前に作り出されることになります。その大きさ、深さ、そこに含まれる人間関係、社会情勢…レポートという形式をとっているだけに、この小説は事件の関係者が自ら動機や殺害の様子を読者に訴えるのではなく、「事件」があったこと、その事件の水紋の広がりを客観的に、事実をして語らしめる、という説得力があると思います。行き帰りの電車内で少しずつ読んでいましたが、この本を読んでいた2週間ほどの間は、通勤を苦痛には感じませんでした。それほどに良かった。7,8年前の作品なので、今さら皆さんにお奨めするのも恥ずかしいことなのですが、でもオススメです(笑)人気ブログランキングに参加しています。今日の記事を読んで図書館HPの蔵書検索で「宮部みゆき」を調べようと思った方は…「ポチッ」よろしくお願いします。クリックで救えるブログがある…↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓人気blogランキングへ