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カテゴリ:恋歌1
落葉
上田敏「海潮音」 秋の日の ヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し。 鐘のおとに 胸ふたぎ 色かへて涙ぐむ 過ぎし日の おもひでや。 げにわれは うらぶれて こゝかしこ さだめなく とび散らふ 落葉かな。 「海潮音」訳詩集。上田 敏訳。明治38年 本郷書院より刊行 ヨーロッパの訳詩57編を収める。 ブッセの「山のあなた」、ブラウニングの「春の朝(あした)」など ---------------------------------------------------- 上田敏のこの訳詩はあまりにも有名 まだまだ純真だった乙女のころ、 授業の合間に口ずさんでは うっとりとしていたものだ。 授業中よく、ボーッとしてて、 先生に注意されていた。一体 何を夢見ていたんだろう・・・・ 大年増と化した今となっても、依然として 心ひかれる詩の代表である。 というより、中年を過ぎた今だからこそ、より共感できる。 「うらぶれて 定めなく 飛び散る」落葉を 我が身をなぞらえたりして・・・ 「ひたぶるに うら悲し」の世界に どっぷり浸かっております。 「バイオリン」ではなく「ヴィオロン」とあるから またいいようだ。 「バイオリン」と換えて読んでみると全く 情緒が感じられなくなる。 それはさておき 我が家では 炬燵にフアンヒーター。ホットカーペット などを出して、冬支度も準備万端。 九州なのに、兎に角、寒い。 寒がりの私にとって、恐怖の冬がもうすぐやってくる・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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