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カテゴリ:マネジメント
★「なにかを説得するのは簡単だが、
説得のままの状態に民衆をつなぎとめておくのがむずかしい。」(p38) ★「人間というものは、危害を与えられると信じた人から恩恵を受けると、 恩恵を与えてくれた人にふつう以上に、恩恵を感じるものだ。」(p62) ★「君主は野獣と人間をたくみに使いわけることが肝心である。」(p102) ★「りっぱな気質をそなえていて、後生大事に守っていくというのは有害だ。 そなえているように思わせること、それが有益なのだ。」(p104) ★「英明でなえれば、人の意見をうまく聞くことはできない。」(p139) 【サラっとく?】 ●「君主論」と聞いて、皆さんは何を想像するでしょうか?マキャベリズム、 権謀術数主義、…こういった言葉に代表されるような「目的のためには手段を 選ばない非道徳的な思想」というイメージをもたれる方が多いかもしれません。 ●確かに本書は、甘い幻想論や高尚な理想論を述べるものではありません。 「人間は恐れている人より愛情をかけてくれる人を、容赦なく傷つける」 といった有名なマキャベリ語録を見ても、その考え方が性善説ではなく、 韓非子的な性悪説に基づいていることは明らかです。 ●しかしこの本が、今日まで多くの為政者や経営者に読み継がれてきた所以は そこに「人間の本質」があるから。性悪かどうかの議論はさておき、マキャベリの 人間を見る目は、建前や理想を度外視した、あくまで現実的なものになっています。 ●組織や民衆の上にたつものというのはやはり、ときにこういった冷徹なまでに 現実を直視する視点というのが必要なのでしょう。甘っちょろい理想論を振り回し、 多くの部下や国民を窮地に落とし込むリスクをさらさないためにも、本書を学び 「マキャベリズム」という短剣を懐に忍ばせておきたいものです。 【突っ込んどく?】 ●「君主は野獣と人間をたくみに使いわけることが肝心である。」(p102) これです。まさに「君主論」の骨格ともいえる部分です。 この「野獣」というのは実は、ライオンと狐の2つを使わなければいけません。 ●なぜなら、ライオンは果敢であれども策略や罠から身を守れない。狐は狡猾に 策略を仕掛けられるが、狼からは身を守れない。そこでこの2つを使い分ける事が 必要になってくるわけです。ただ、あまりこういった攻撃的な「野獣」ばかりに 力を入れて「人間」的な温かさを失わないように気をつけないといけませんね。 ●「英明でなえれば、人の意見をうまく聞くことはできない。」(p139) よく、優れた経営者や敏腕政治家について、本人に能力があるのではなく、 その周りのブレーンや秘書が優秀なだけだ、という意見を聞きます。 ●しかしここには大きな誤解があり、マキャベリのいうように「優秀な意見を 聞き入れる才能」が、上にたつ者にとって真に必要な能力なのです。 まして、今後の情報化社会においては一人で全ての知識をカバーすることなど 不可能に近い。 ●そこでこれからは、和田秀樹さんの言うような「他人をまきこんだ形の頭のよさ」、 これがますます重要になってくると考えられます。「人生の君主」になるために、 真の英明さを見極められる人間でありたいものです。 オススメ度★★★★☆ →・政治家 ・経営者、経営幹部 ・部下、後輩をもっている方 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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