カテゴリ:砂的博物誌
これは源氏物語 三十九帖「夕霧」の巻にある歌。落葉の宮に恋焦がれていた夕霧が、 玉鬘に藤袴を差し出して詠んだ歌だよね。 現在、レッドデータブックで絶滅危惧(NT)に分類されるのが藤袴(ふじばかま)だ。 かつて、日本各地の河原に群生して秋の野に彩を添えていたのに、 今ではすっかり数を減らしてしまい、殆ど群生は見られない。 2007年8月以前の環境省レッドデータブックでは、絶滅危惧II類(VU)。 ちなみに、(EX)は絶滅で、以下(EW)、(CR)、(EN)、(VU)、(NT)、(DD)と続く。 日本の国債の格付けが下がるのはご免だけど、このランクダウンは嬉しい兆候♪ 藤袴は本州、四国、九州、朝鮮、中国にまで自生するキク科 ヒヨドリバナ属の多年草。 中国辺りが原産ともいわれるけど、実際、万葉の昔から日本人に親しまれてきたから、 日本も原産地の一つであることは間違いない。 8月~10月に、散房状に淡い紫紅色の小さな花をつける。 その姿は、野生の気品に満ちて美しい。 生草のままでは無臭なんだけど、乾燥すると含有したクマリン配糖体が加水分解され、 ちょっとした催淫作用のある、桜餅の葉のような芳香を放つらしい。 その昔、Hに疲れた夫婦が、回復のために風呂に入れたりしたそうだよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|