カテゴリ:砂的古典文学のススメ
これは、享保年間に実際に大阪で起きた紙屋治兵衛と遊女の心中事件を描いた、 近松門左衛門の『天網島時雨炬燵(てんのあみじましぐれごたつ)』の"世話物"。 それに、砂天狗がちょいと脚色してあらすじをまとめたんだ 活字離れで、本や古典にあまり馴染みのない人にも、 近松門左衛門の雰囲気だけ楽しんでもらえると嬉しいけど♪ いつの時代も、男というものはホント馬鹿な生き物。 商売が、少しばかり繁盛すると、途端に遊びに走ったりするもんだ... 紙屋の治兵衛も、女房子供がありながら、ここ三年ほど、足繁く曽根崎新地へ通い、 紀伊国屋の遊女小春とは、すっかり"馴染み"になってしまった。 客と遊女の関係とはいえ、月日を重ねて情を交わせば、切れぬ仲にもなってしまう。 このままじゃ、治兵衛も小春も情に溺れて身を滅ぼしてしまうと、 遊郭の主人までが案じて、あれこれ理由をつけて二人を裂こうとした。 けれども、無理に裂こうとすればするほど、男と女は惹き合ったりするもの。 治兵衛と小春も、仲を裂かれるくらいなら、いっそ一緒に死のうと起請文を交わし、 "心中"の誓いまで交わしちまったんだ。 【送料無料】春画 ある日、新地の河庄で、小春は武家の客と"同伴"した。 ところが、侍が幾ら小春と話をしようとしても、小春の方は心ここにあらずという感じ... それに、口を開けば死ぬだの何だのと、小春は物騒な事ばかり口走る。 そんな、ちょっとアブナイ小春を不審に思った侍は、小春に訳を聞いてみた。 すると小春は、馴染み客の治兵衛とノリで心中の約束を交わしてみたものの、 死にたくないと漏らし、侍に自分の馴染みになって治兵衛に諦めさせてくれと頼む。 なんて女だ...(相当な悪女?) そんな小春が、開いてた窓を閉めようとしたその時、 格子の間からいきなり脇差が差し込まれた。 血迷った治兵衛の仕業だった。 治兵衛は、小春と心中しようと脇差を持ち出して、 店の者たちの監視の目を潜り抜けて、河庄にやってきていたんだ。 そうして、たまたま二人の会話の一部始終を聞いてしまったもんだから、 可愛さあまって憎さ百倍... 逆上して頭に血が登ってしまった。 咄嗟に、侍は治兵衛の手首をねじりあげ、格子にくくり付ける。 間の悪いことに...そんな時に限って、恋敵の伊丹の太兵衛が居合わせてしまい、 治兵衛のみっともない姿を目にする。 小春に想いを寄せる太兵衛にしてみれば、ここらでライバルに差をつけておきたい。 太兵衛は、ここぞとばかり治兵衛の醜態を嘲笑って、とことん馬鹿にした。 すると、侍の方は治兵衛を庇って、太兵衛を一喝して追い払った。それもそのはず... 実は、武家の客だとみんなが思い込んでいたのは、侍を装った治兵衛の実兄で、 粉屋の孫右衛門だったんだ。 孫右衛門は、商売が傾くほど小春に入れ揚げる治兵衛に怒り、遊郭通いをやめさせようと、 小春に逢うためにやって来ていたんだ。 事の次第を知って、落ち着きを取り戻した治兵衛は、兄の孫右衛門に土下座して詫び、 小春とはきっぱり別れると約束して、小春から起請文も取り戻して孫右衛門に預けた。 これでようやく収まったかに思え、孫右衛門もこの場はホッと一安心した。 それに加え、預かった起請文の中に、治兵衛の女房が小春に宛てた手紙をみつけ、 孫右衛門は、小春の急な心変わりの真相を悟る。そして、小春の治兵衛を想う真心と、 義理堅さを心から有難くも思い、心の中で手を合わせた... 砂天狗 解釈 近松門左衛門は明日につづく・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[砂的古典文学のススメ] カテゴリの最新記事
|
|