カテゴリ:砂的博物誌
英名でJapanese Roseというと、?瑰(はまなす)の花。 和名の由来は、浜に生えて果実が梨に似ていることから浜梨(はまなし)と呼ばれ、 「なし」が「なす」に訛ったというのが由来らしい。 植物名の漢字で、一般的によく使うものなら浜茄子だと思う。 でも、あえてblogでは、?瑰(はまなす)としてみた。 和名の当て字としてはこの漢字が一番相応しいと思う。 ?瑰は東アジアの温帯から冷帯にかけて分布するバラ科の植物で、 野生では北海道に一番多く、西日本では鳥取、島根など日本海側に少し自生する。 5月から9月にかけて、花と実が楽しめ、通常、濃いピンクだが、白花もある。 元来、海浜性植物なので潮風や乾燥にも強く、鋭い棘が密生して痛い。 花後の果実はローズヒップと呼び、ビタミンCを多く含み食用にされる。 香りはないけど、甘みと酸味があって、お茶やのど飴にも利用され、 中国では、蕾を茶にした美容茶の?瑰花(メイグィファ)が有名で、湯を注ぐと花が咲く。 日本の?瑰には、世界のバラ栽培の歴史を動かした事実がある... そもそも、西洋では17世紀頃からバラは薬用として栽培がはじまったそうで、 ナポレオン1世の妃ジョセフィーヌは、バラ栽培に夢中だったとか。 しかし、当時の洋バラは見た目もショボく、病害に弱くて栽培が困難だった... 鎖国していたとはいえ、わずかながら長崎へは外国人が出入りしていて、 その中に、オランダ商館医のケンペル、植物学者で医師のツンベリー、 そして、医師であり博物学者でもあったフォン・シーボルトもいた。 シーボルトらは、西洋では珍しい日本や中国の植物を多く持ち帰っている。 その中に、中国の長江産のバラと、日本の?瑰(はまなす)が含まれていて、 ヨーロッパの人々は?瑰の強靭さに驚いたという。 後に、?瑰と洋バラと掛け合わせることで、バラ栽培は飛躍的に向上し、 様々な品種がつくられ鑑賞用の園芸に発展した。 こうしてバラ栽培は確立され、今も世界中で新品種が生まれ続けているけど、 そうした洋バラには日本の?瑰のDNAが息づいているんだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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