テーマ:"あすの日本を考える"(493)
カテゴリ:理屈っぽい時間・・・
もう、三十年以上も昔の思い出前になる... 高校の夏休みも、終わりに差しかかった頃、同級生が運転免許を取得し、 彼の父親の形見となった、シビックを運転して嬉しそうにやってきた。 ハンドルを握りながら、友人の目はキラキラしていた... 余談になるが... シビックは、1972年にデビューした小型車で、 ホンダの世界戦略の基幹モデルと位置づけられた、歴史に残る名車だ。 デビュー当時、シビックの車種ライナップは1車種だけだった。 現在の小型車にありがちな、3ドア・ハッチバックではなく、 英国のミニクーパーのような、独立したトランクを装備した2ボックスだ。 直列4気筒1.2リットルのCVCCエンジンは、60馬力を発生。 造りのよさと、燃費のよさが団塊のジュニア世代にウケた。 シビックは、初代から7代目までは、いずれも小型のボディサイズだけど、 2代目から3ドア、5ドア・ハッチバックに加え、セダンを選べるようになった。 かつて、世界を制した日本のコンパクトカーの原点が、 初代シビックの、発想と技術に凝縮されていた。 今思うと、バブルを境に日本のクルマ造りはおかしくなった... それは、どのメーカーも同じで、ホンダ シビックも例外ではない。 シビックの場合、3代目の頃から方向性が狂いはじめた。 コンパクトカーのサイズだったシビックは、徐々にスケールアップされ、 8代目から、3ナンバーサイズに拡大し、高級セダンに変貌した。 日本車に学び、欧米がコンパクトカーの開発に躍起になる中での暴挙だ。 近頃、自動車メーカーは若者のクルマ離れを憂慮し、クルマが売れないと嘆く。 もっと魅力的なクルマを造りに、国内自動車メーカー各社は躍起になっている。 馬鹿げている... 自動車産業は、悲鳴を上げている家電メーカーを笑えまい。 日本の企業経営陣は、ここまで目が見えず、愚かになった。 もはや、政治家を笑えまい。 クルマを売れなくしたのは、自動車産業をはじめ産業界そのもの。 クルマを購入し、国内の様々な消費を支えるべき若者の多くは、 メーカーや、下請工場、中小企業の非正規雇用者として働き、 不安定な暮らしは、購買力を奪い、結婚する機会さえ失くした。 よき時代に入社し、大手企業で革張り椅子に座り慣れた連中には、 国内需要を取り巻く、こうした問題の根深さはおよそ想像すらできまい。 コストダウン、就職難、派遣社員、消費低迷、格差社会、デフレ、未婚... 少子高齢化、税収低迷、GDP下降、産業空洞化、国際競争力低下... 今、日本国内に起きている事象のすべては、リンクしている。 クルマは、買わなくなったんじゃない! 買えなくなったんだ。 何もかもを政府に責任転嫁せず、産業界も努力すべき改善は、雇用と格差是正。 働く場と収入が得られ、多少でも余裕ができれば、クルマも家電も買うし、 家庭だって持つだろう... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[理屈っぽい時間・・・] カテゴリの最新記事
|
|