テーマ:ココロ(1186)
カテゴリ:砂的つぶやき
未明の空は、雲に覆われていた。
夜な夜な、月を撮影することは、 身体に優しい振舞いではない。 とくに、吾が年齢を顧れば、 もはや阿呆としか表現できまい。 しかし、今秋は悲壮感にも似た、 何かそのような心境に駆り立てられ、 夜ごと月を仰ぎ見ていた。 天空の月は、魅力的でもあり、 また残酷でもある。 地上を覆う雲、降りしきる雨の遥か彼方で、 淡々と無常の時を刻んでいるのだ。 仕事を辞して、父母の闘病を傍らで見守り、 老い衰える有様を、風景のように目にすると、 十数年、あるいは二十数年後の吾の姿を想像する。 人は、老い方や死に様を選ぶことはできない、 などと確信する。 少なくとも、人生のある時期から、ある一点から、 人生すらも容易に選べなくなるのだ。 明恵の説く、あるがままの境地であろうか。 いや、そうではあるまい。 むしろ宿命に抗い、生きてこそ人なり。 感情を持たぬ月の、その欠けてゆく様に、 感情移入する吾はただ滑稽の人... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[砂的つぶやき] カテゴリの最新記事
|
|