テーマ:お勧めの本(7364)
カテゴリ:砂的つぶやき
永遠の変なおじさんが、本当に蛍になってしまった...
あの、作家の野坂昭如氏が、都内の病院で亡くなったという。 ここしばらく、メディア露出もなくなり気になっていた。 以前の、あのTV放送中の大島渚監督とのマジ喧嘩は面白かった。 酔っ払ってる風で、グダグダ文句をいうオヤジ振りが好きだった。 一番笑えたのは、俗に四畳半襖の下張裁判といわれた事件だった。 永井荷風の春本「四畳半襖の下張」を主催雑誌に掲載して摘発され、 性描写を巡って最高裁まで争ったことだろうか。 裁判では、五木寛之、井上ひさし、吉行淳之介、開高健、 有吉佐和子など、著名作家を証人申請して話題を集めた。 永井荷風の「四畳半襖の下張」は、奇妙な設定と特殊な文法で知られる。 購入した民家の襖の下張から、春本を見つけたという第三者の視線なのだ。 「はじめの方は、ちぎれてなし」という冒頭が、如何にも芸が細かい。 内容は、いわば中高年の好色男の回顧禄で、性遍歴で変化する心情が綴られ、 女房との芸者時代から、結婚後の性の営みの様子が生々しく表現されている。 そんなハチャメチャな人だが、文壇の業績は驚くほど輝かしい。 野坂氏の文芸は、常に底辺を掘り下げて描く、リアルな社会派なのだ。 「火垂るの墓」や「アメリカひじき」などの小説だけに留まらず、 焼け跡闇市派と称して、ヒット曲「黒の舟唄」などでも知られた。 その後、野坂氏の中では、男と女の間の川は埋まったのだろうか。 ともかく、生涯やんちゃで愛すべきロクデナシの御仁だった。 「おもちゃのチャチャチャ」の作詞者というのは知らなかった。 どう見ても、子供向けとは思えないのだ...(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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