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ないものねだり

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2015.12.23
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映画やドラマに脚色があるように、曽根崎心中も脚色され、
幾つものバージョンが書き下ろされている。

江戸時代、京都で出版された「心中大鑑」という読物では、
遊郭天満屋の遊女お初は京都生まれで、曙(あけぼの)とされ、
指名率No.1の超売れっ子遊女だったとされる。

こうなると、もはや悲劇の遊女でもなんでもない。
もし事実だとしても、物語としては興ざめだ。

img_tasogare.jpg

それに比べると、近松門左衛門の曽根崎心中は、さすがというしかない。
二人が心中したとき、事実では徳兵衛が25才、お初は21才だったそうだが、
近松の曽根崎心中に登場するお初の年齢はと十九となっている。
これはどういうことだろう...

厄年の最初が男25才、女19才なので、より悲劇性を醸し出すのだ。
それに、近松は遊郭でのお初の人気振りを、ややぼかして表現している。
こういうところに、近松の作家としてのセンスを感じる。

さて、悲恋 曽根崎心中のクイズの答えにもなるところだが、
気になるのは、二人の馴れ初めだ。

砂浮琴が脚色した、悲恋 曽根崎心中では、観音参りの帰りに立ち寄った、
生玉神社の"茶屋"が二人の出逢いの場となり、物語が展開する。
これは、馴れ初めをより衝撃的にするための演出だ。

IMG_4106.jpg

実際はどうかというと、二人は遥か前に遊郭で出逢っているのだ。
浄瑠璃では、茶屋は久し振りの再会の場で、お初が事情を知るシーンとなる。

今風にいうと、大坂内本町の平野屋は、江戸にも拠点を持つ一流企業で、
徳兵衛は、そこのCEOと縁続きの中堅エリート社員だった。
たまに、遊郭へ通うぐらいのことは十分出来る身分だ。

徳兵衛は、遊郭の張り見世(顔見世)で惹かれ、お初を指名し、
お初は、座敷で徳兵衛の優しい人柄と誠実さに、"一目惚れ"してしまう。

本当の二人の姿は、人気No.1のアイドル遊女のお初と、一流商社マン徳兵衛。
そんな二人の悲恋という、何だかバブル期のトレンディドラマの香りがする。

江戸時代、俗に世話物と呼ばれた、スキャンダル物は多々あったが、
登場人物は、悪女やイケメンのだけで中身のないダメ男が多い。
曽根崎心中が、名作として色褪せないのは、二人のキャラだと思う。


本当なら、誰より幸せになれた筈の二人...
しかし、タイミングと邪な知人の裏切りで歯車が狂い、二人は悲劇的な結末を迎える。
史実の曽根崎心中は、だからこそ哀しく、近松の名作として普及した。

ということで、クイズの答えだが、徳兵衛とお初の出逢いのシーンが私の脚色だ。
古典文学を味わってもらうため、またこういう機会を設けたい。









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Last updated  2015.12.23 18:58:14
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