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2006年10月13日
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カテゴリ:福祉
 みなさまこんにちは。

 がん患者の治療費について、このブログで何度もとりあげていますが、昨日、がん患者の生命保険の買取について、最高裁で判決が出ました。

  最高裁、生命保険の譲渡認めず・原告男性の敗訴確定
                        (NIKKEI NET 記事はブルー小
 当面の生活費を得るために、加入している生命保険を保険買い取り会社に売却しようとした埼玉県のがん患者の男性(52)が、AIGスター生命保険に名義変更を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(島田仁郎裁判長)は12日、男性側の上告を退ける決定をした。保険買い取りビジネスは米国で広く行われているが、買い取りを認めずに請求を棄却した1、2審判決が確定した。

 1、2審判決によると、男性は死亡時に保険金約2800万円が支払われる生命保険に加入。2004年12月、保険金を受け取る権利を東京都内の買い取り会社に約850万円で売却することにしたが、AIGは契約約款を理由に名義変更を拒否した。

 1審・東京地裁は「生命保険の売買で様々な問題が生じる危険性を否定できない」と請求を棄却。2審・東京高裁も1審判決を支持した。
(記事より)


  生命保険の業者への売却は「不可」…最高裁決定
                (2006年10月12日19時54分 読売新聞 記事はブルー小
 生命保険の死亡保険金を受け取る権利を保険買い取り業者に売却できるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(島田仁郎裁判長)は12日、売却目的で生保会社に名義変更を求めた原告側の上告を退ける決定をした。

 これにより、「生命保険が売買の対象になれば不正の危険が増大する」として名義変更を認めなかった2審・東京高裁判決が確定した。

 この訴訟は、生保売買の是非を問う初の訴訟として注目を集めた。

 米国では生保買い取りビジネスが普及し、買い取り業者に対する法的規制があるが、日本では法的規制はない。

 訴えていたのは、埼玉県内の男性がん患者(52)。男性は1989年、死亡時に3000万円が支払われる生命保険を千代田生命保険(現・AIGスター生命保険)と契約。

 その後、男性は肝がんと診断され、医療費などで生活が困窮したため、04年12月に死亡保険金を受け取る権利を「リスク・マネジメント研究所」(東京都江東区)に849万円で売却することで合意した。

 しかし、生保側が「倫理的問題がある場合は同意しない」とする内規を理由に、契約者と受取人の名義変更を拒否したため、提訴した。

 現在も自宅で療養生活を送っている男性は、「長期療養で生活に困っている患者は多い。訴訟を契機に、生保買い取りについて議論してもらいたかったが残念だ」と話した。
(記事より)

 生命保険の買い取りというビジネスの存在自体が是か非かと問われれば、私個人は、なんとも言えないというのが、正直なところです。

 私自身は、生命保険を売らなければ生活が立ち行かなくなるほど、がん患者が経済的に追い詰められてしまうような社会こそが問題だと思うので、世界的に権威のある学会で『効果がある』と発表された治療法については、日本でも迅速に検証され、保険承認されて欲しいと願っています。
 そして、できれば、治癒の難しい状態のがん患者については、保険の3割負担についても、軽減されるようになって欲しいと思っています。

 ただ、そんな制度が今後確立するとしても、まだまだ数年はかかるでしょうから、現状では、本当に、がん患者が生き続けることを非常に困難にしているような社会保障のあり方ですので、そこに一石を投じたこの原告の方々は、勇気ある方々だったと思います。

 今のままでは、社会保険での保障も不十分、民間保険でも不十分です。

 新しいタイプの保険には『生前給付特約』があったり、住宅ローンの団体信用生命保険で『がん、急性心筋こうそく、脳卒中の3大疾病にかかった場合に、残額の支払いを保険で保障するローン』というようなものもありますけれど、私が大学を卒業して生命保険に加入した頃は、まだ、それが誕生していませんでした。

 生命保険の特約などを見直す場合、今までの生命保険に付け加えるだけで済む場合もありますが、一旦解約して入りなおすような方法をとらなければならない場合もあります。

 私の場合を例にとれば、若く、バブル崩壊以前に入った生命保険ですので、大変条件が良く、今解約して新しいものに入りなおすのはかなりの損になります。
 いくらがんが心配とはいえ、損を覚悟で入りなおすのは、月々の支払い保険金のことなど考えても、ちょっと難しいです。
 
 生命保険の転売を認めないのであればせめて、こういった『生前給付特約』以前の生命保険については、政府がその生命保険を担保に、無利子で、保険金受取額の半額までは、希望するがん患者に融資するというような、現実的な救済制度を打ち立てるべきでは、と思います。
 現在のがん医療では、自分に効果を出してくれる治療法が、健康保険で認められていないケースもたくさんあるのです。あれもダメ、これもダメ、では、患者は追い詰められるばかりです。
 ぜひ、早急に対策を打ち立てて欲しいと思います。


 生命保険の売買は、最近話題となっていたような消費者金融の生命保険のようなケースも想定されるだけに、今回のケースのような場合ばかりとは限らなくなる恐ろしさもあり、判決は難しかったと思いますが、現実に、この危機に直面している方々にとっては、希望を失う判決であったと思います。
 何の手立ても講じずに、筋だけ通してあとは知らないよ、では、たまったものではありません。


 今後は、生前給付特約とかがん保険とか、いろいろな保険がありますから、健康なうちに備えておく、ということも『自己責任』になるのかもしれませんが・・・。
 今30代、40代、50代でがんになった人たちの保障を、きちんと考えていただきたいと思います。





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Last updated  2006年10月13日 13時48分00秒
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