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テーマ:癌(3549)
カテゴリ:患者の自立
皆さまこんにちは。
がんの医療に限らず、このごろは、個人の『自己責任』や『自己決定』が問われるようになっています。 責任がついて回る決定においては、情報をより多く集め、吟味し、自分の中のいろいろな条件を考えた上で結論に導かなければなりません。 よく吟味もせず、少ない情報の中で、安易に出してしまった結論の場合は、結果が良いときにはたいした問題にもなりませんが、結果が思わしくなかったときには大きな後悔が生まれますし、責任の所在についても争いが起こります。 医療において、患者が自分で決定し、その決定に責任を持つというのはどういうことなのか・・・。 これは、患者の自立・・・ということなのかな、と思いますが、ひとくちに『患者の自立』と言っても、日本の医療現場では、自立の条件が整っていません。 このことは、とても大きなテーマなので、いろいろな側面から、時間をかけて考えていきたいと思います。 また、日本において、政策側が「自立」という言葉をを使ったときには、“障害者自立支援法”のような、いわば育児放棄のような、「勝手におやり!自分の責任でしょ!」というような便利な使われ方がしばしば見受けられるので、ここでの自立はそういうことではなくて、「自立した患者」像を追い求めてみたいと思います。 自立した患者とは、どういう人のことを言うのでしょうか? ○医師とのコミュニケーションが上手に取れる患者? ○自分の病状を正しく理解している患者? ○自分の病気の今後について、良い場合も悪い場合も、両方について理解している患者? ○自分の価値観やライフスタイルに合わせて、どういう療養生活を送りたいかを常に意識している患者? ○今受けている治療や選択肢に上がっている治療について、メリットやデメリットを理解している患者? ○我慢しすぎない患者? ○自分の体調をちゃんと考えている患者? ○相談相手やアドバイザーを持っている患者? これをみて、こんなの当たり前~と思う人もいれば、こんなの無理~と思う人もいるのではないでしょうか。 全部を完璧にできていることが条件ではありませんが、一つ一つみていけば、やはり、必要なことではないでしょうか。 上にあげた全部を、逆にしてみるとわかりやすいかもしれません。 『医師とのコミュニケーションが上手に取れない』 『自分の病状を正しく理解していない』 『自分の病気の今後について、良い場合も悪い場合も、両方について理解していない』 『自分の価値観やライフスタイルに合わせて、どういう療養生活を送りたいかを常に意識していない』 『今受けている治療や選択肢に上がっている治療について、メリットやデメリットを理解していない』 『我慢しすぎる』あるいは『我慢をまったくしない』 『自分の体調をちゃんと考えていない』 『相談相手やアドバイザーを持っていない』 ↑こういう患者さんだと、良い結果を出すのが難しそうだし、どんなにいい治療をしてあげても、その価値がわからないから、結果に対して文句を言いそうですよね・・・(^^;;; もし、立場が逆だったら、やはり、こういう患者さんの治療は辛いし大変なのではないでしょうか。 『医師とのコミュニケーションが上手に取れない』 ・聞きたいことも聞けない(何を聞いたらいいかわからない) ・何を言われてもよく聞いていない、覚えていない。 ・家族や周りの人には文句を言うのに、主治医には何も言わない などなど・・・ 『自分の病状を正しく理解していない』 ・自分の病気、タイプ、進行の度合いを知らない。 ・自分の病状が今どうであるのか知らない、気に留めていない。 ・検査の結果や数値、検査の項目の意味などを理解していない。 『自分の病気の今後について、良い場合も悪い場合も、両方について理解していない』 ・治療がうまくいった場合の可能性を考えず治療を放棄したり投げやりになる。 ・治療がうまくいかなかった場合の可能性を考えず楽観視している。 『自分の価値観やライフスタイルに合わせて、どういう療養生活を送りたいかを常に意識していない』 ・治療によって生じる副作用や後遺症と、自分の今後の生活を具体的に考えていない。 『今受けている治療や選択肢に上がっている治療について、メリットやデメリットを理解していない』 ・治療によって生じる恩恵と、副作用や後遺症、費用などを知らない。 『我慢しすぎる』あるいは『我慢をまったくしない』 ・肉体的な辛さを我慢しすぎれば、処置が遅れる。 そのために病状が進行したり副作用や後遺障害が出る可能性がある。 ・精神的な辛さも、我慢しすぎると鬱になることも。適宜相談する。 ・わがまま放題も、もちろん迷惑・・・^^;;; 『自分の体調をちゃんと考えていない』 ・治療中は体調の維持・管理が優先。体調を崩せば、予定通りの治療が行えず、 期待した効果が得られない。 『相談相手やアドバイザーを持っていない』 ・家族や待合室の友人とコミュニケーションをとったり、患者会や病院の相談室を活用 するなどの努力を。 日本の医療現場では、一生懸命の医師であっても、その医療の価値を理解されないために、評価されないケースもあるし、逆に、とても前向きな『自立した患者』であっても、地域格差などの問題から、良い主治医にめぐり合えないケースもあります。 また、医師が多忙だったり、コミュニケーション能力が欠落している場合もあるため、患者が自分の病状を正しく把握するのが困難な場合もあります。 忙しすぎる現場を、もうちょっと何とかするということも考え、対応していかなければなりませんが、すぐにその問題を解消することも困難なので、少しでも手助けになるツールを考えることも必要です。 たとえば、患者が自分で書き込む『自分用カルテ』があれば、医師とのコミュニケーションが取りやすくなります。診察時にテープレコーダーで医師の話を録音することが一般的になれば、患者はそれを聞き返し、理解しながら、自分のカルテに書き込むこともできますし、わからないところを自分で調べることもできますし、次回、医師に質問することもできます。 今は、医療の質にも注目が集まってきつつありますが、質の高い医療のためには、その医療の価値を理解し、評価できることが必要です。 一度にすべての問題を解決するのは難しいですが・・・・。 ←よろしければ、1日1クリック♪お願いしますm(__)m お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年10月22日 16時29分02秒
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