冬の旅路(2)
<b-house>さて。こないだの、「あの山の向こうまで歩いた」って話にはですね。ちょっとした続きとオチ(?)がありまして。あの続きをすこし綴ってみたいと思います。============================AM9:00ちょうどに、東北本線は矢幅駅に到着。明け方まで激しかった雪と風が、まるで何事も無かったかのようなぴかぴかに晴れ渡るホームへと、僕らは降り立った。「どうも」と改札の駅員さんに切符を渡し、ストーブのわきに設置されたベンチにちょんと腰掛けて出掛けにPCで出力してきた温泉までの簡単な案内図をカバンから引っ張り出す。駅に着いて、その案内図を見れば何とかなるだろう、、と高をくくっていたのだが。あたりをみわたしても、どうもしっくりと理解ができない。よくわからないその案内図を持って、改札にいた駅員さんに質問する。僕:「あの、(案内図をみせて)この温泉まで行きたいんですけど。 歩いてどのくらいかかりますか?」駅:「え??? 温泉って、、(しばし無言) だいぶあるよ?」僕:「そうなのですか。」 (距離的には5kmくらいと踏んでたので、さして驚かない)駅:「うん、方角的には (山のほうを指差して)、あっちの方向だね。」僕:「そうなのですか。」 (え? 方角???) 「歩いては行けないのですか。」駅:「う~ん。。 行けなくも無いけれど、、 」 「あ、あそこにタクシーがいるから、相談してみたらどうかな?」僕:「はい。 ありがとうございました。」僕は相方に会話の始終を伝えてから再度席を立ち、外に停車中のタクシーに近づいて声をかけ質問してみた。僕:「こんにちは。 あのお伺いしたいんですが。」 「(案内図を見せながら) この温泉まで行きたいのですが、この(案内図の)一本道は、 あの踏み切りから続く、(見える踏切を指さして)あの道で合ってますか?」タ:「え?? 合ってるけども、、 もしかして歩いていくつもり???」僕:「そうなのです。 もしかして無理な距離ですか?」タ:「いんや、無理って事はないけども (ごにょごにょ、、)、 歩くったって、けっこうあるよ?」僕:「はい。 天気もよいですし、ちょっと行ってみようかと。」タ:「…そ、そうですか。。」 「そしたらね、あの踏切の道を、ずーーーっとまっすぐ行ったらね。」僕:「はい。」タ:「パストラルバーデンって建物があってね。」僕:「はい。」 (これは案内図にも書いてあった。)タ:「その向かいにダムが見えるから、そしたら左。」僕:「…。」 (え、、、ダム???) (注)ダムは案内図に記載がない。タ:「そこからずーっと、しばらく行ったら左側にありますよ。」僕:「…ありがとうございました。 天気もいいし、とりあえずいってみます。」タ:「え、行くの???」僕:「はい。 ありがとうございました。」どうやら駅員さんも、タクシーの運転手さんも。僕らがそんなに歩くのが得意でないんじゃないか、、と思ったらしい。でも、それもむりもないか。僕も相方も、まんま仕事帰りのカッコをしていたのだから。(笑) (注)僕らは二人とも、仕事はスーツ着用ではないんです。いやしかし、、ちょっと気にかかるキーワードが会話にちりばめられてた気もするが。。こんな天気のよい雪景色を、歩かないなんてあまりにももったいないし、なにかあったらそのときは、バスかタクシーを考える、、ということにして。まずは歩きを楽しむべく、出発することにする。念のために、ひとまず 『ダム』 のことは、相方にはまだ内緒にしておいたほうがよいだろう。僕 :「んじゃ、行ってみようか。」 「ちょっと距離あるらしいけど、たぶんいけるよ。 天気もよいしね。」相方:「うん、そうだね^^。」線路際から踏み切りを横切って、畑だか田んぼだかよくわからない、見渡すかぎり歩くひとの姿のない一面まっしろな中にすっと行く手を指し示すようにつづく一本道を、あの山に向かってまっすぐに歩く。ときおり通り過ぎる車の心遣いがなんともうれしい。どこをタイヤを通したら雪がはねないか、きちんとわかってて、きっちりとラインをはずして走ってくれる。都内では、とてもこうはいかないだろう。こちらの人たちは車の運転がみな上手だ。しばらくまっすぐ歩くと、高速道路にぶつかり、行く手を阻まれる。あれ。。 まっすぐ一本道だったはずなのに。。。どうやらどこかでまちがったみたいだ。むー、なんかおかしいと思った。どおりで車通りも少ないし、歩きやすかったわけだ。おかげで相当楽しめはしたけれど^^。こうなったら(?)仕方ないので、とにかく、(例の)あの山を目指して歩いていくことに。駅員さんの指し示す方向は、あっちだったし、auの携帯ナビでも、(だいたい)あっちだ、と指しているし。なにより道を聞きたくても、見渡すかぎりだれもいないのだから進むしかない。(笑)どうやら道を間違えたらしいと、相方に伝えたところ。「なんとかなるんじゃない?」 と、いがいにも軽い返事だった。雪景色という(若干の)逆境が、かえって良い働きをしているらしい。さすが、雪国育ち!多分これで雪が無かったら、、きっとテンションがた落ちだったに違いない^^;。なんだかまたすこし冷たい風も吹いてきた。進行方向右側の空と山が、どんよりと霞がかって来た気がする。雲は頭上にかかってないものの、きめ細やかな粉雪が上空の風にどこからか運ばれてまたすこしずづ降って来た。ま、おそらくだが、 あの山のふもとまでたどり着けばあと少し。そのあたりで道を聞いてみれば何とかなるだろう。…ということで、歩くこと1時間とすこしが経過。(ほぼ)ふもと付近に到着したは良いが、『ダム』の気配すら感じることができないのどかな風景。あれ、やっぱおかしい。再び携帯のナビで方角を確認。どうやら直線で向かってはいるらしいけど。。。どんどん山の奥へ向かっていくなぁ。駅から歩いた距離から換算すると、あともう1~2kmのはずなんだけど。。。と思いつつ、ふもと沿いの民家を眺めながらしばし歩く。だんだんと暗がりに包まれて、雪の勢いも心なしか強くなってきた気がする。。そんななか。うっすらと雪をかぶった(おそらく)梅の木が寒々と立ち並ぶその先の向こう側で。道路工事をしている3人のおっちゃんたち(A,B,C)を発見。やったぁ!僕:「あの、すみません。 ちょっと伺いたいのですが。。」 「ここの温泉に行く途中なんですが、道を教えていただけませんか?」おA:「…へ???」おB:「お前さんたち、歩きなのかい?」僕:「はい。 矢幅駅から歩いてきました。」おA、B、C:「ひょえ~~。」おC:「その温泉ならもうそこだけど。。。 ここから歩いたら、時間はまだまだかかるぞ~~。」僕:「へ、そうなのですか?」おC:「おまえたち、どこから来たんだ~?」僕:「横浜です。 昨晩バスで出て、今朝盛岡に到着したんですよ^^。 で、ちょっと温泉にでも浸かろうかと思って、ここまで来てみたんです。」おB:「お~~~、俺のヨメが横浜出身なんだよ~。 保土ヶ谷区なんだ。」僕:「そうなんですか~。 ぼくら青葉区なんですよ。」おB:「しょーがねーなー、ヨメと同郷じゃ。 雪も降ってきたし、車で送ってやるよ~。」僕:「え~~! ほんとですか、ありがとうございます~~~!!!。」てなわけで。のこり数キロの道のりは、おっちゃんに車で送っていただいたのでした^^;。距離自体はそうでもなかったんですが、、直線で向かってしまったために、雪まみれの結構な勾配の峠道を歩く羽目になるところだったとこを、親切なおっちゃんに拾っていただき、送っていただいたのでした。さらに山深い温泉地周辺では、すごい勢いで風と雪が吹き荒れていたのでした。ほんと助かりました。おっちゃん、ありがとう。 ※帰りは3kmほどの道を、最寄のバス停まで歩いたんですが。。 その頃には吹雪もぴたりと止んで、下の写真のようなピーカンのお天気になったのでした^^。 ほんと、ついてました^^。 <温泉付近の、とある溜池>※最後までたどり着いていただいた方、、 ながながとありがとうございました。。 今回が、最長記録ですわ。(苦笑)