第2回 将棋電王戦 第5局 三浦弘行八段 vs GPS将棋
明日は遂に最終局。プロとしては勝って2勝2敗1分の五分に持ち込みたい。というか、A級棋士の三浦八段が破れると非常にまずい。三浦八段はレーティング的には現時点で20位程度とはいえ、将棋界にとって順位戦の順位こそプロの「格」だ。プロ棋士160人程度の中でA級にいるということは10位以内の実力ということになる。まぁ実際には好不調の波があるので三浦八段よりもっと沢山勝っていて実力は上じゃないかと思う棋士もいるが、順位戦の仕組みが長期にわたる「格」を意味しているのは間違いない。実際タイトルホルダーは現在皆A級だし、渡辺竜王に奪取される前にタイトルを保持していた佐藤、郷田もA級棋士だ。A級棋士こそ強者の集まり。そのA級棋士が一回とはいえ負けてしまえば衝撃は大きい。勝敗の確率論で言えばソフトが勝っても全然おかしくないが、そういう確率論の問題ではない。いまだに見かける「C級棋士だから負けた」という言い訳がぶっ飛んでしまうのだ。
さて勝敗はどうだろうか。三浦八段はソフトへの対策準備期間はあまりなかったと思われる。A級順位戦で最後まで名人挑戦に絡んでいたので、対ソフトの研究より対高橋道雄九段の研究をしていたはず。ある程度力を入れて対策を練った期間は実質一ヶ月というところだろう。アンチソフト戦略はたぶんない。本番で対戦する700台近いマシンを用意もできないので、ぶっつけ本番的な感じになるはず。もちろん多くの方が期待するのは、がっぷり四つに組んでの戦いだろう。入玉はもちろん、ソフトの変な癖を突くものではなく、普通に駒組して優勢を築いて勝つというパターン。2、3局は序盤優勢を築けず、中盤で優勢な場面もあったが…というパターン。今回は序盤でどれくらいうまく指すかに期待したい。ソフトは序盤が下手という定説があるけど、2〜4局では優勢を築けなかった。少なくとも今回は序盤で優勢を築いて欲しいなぁ。序盤の創造性あるいは対応力こそが大局観であり、人間がまだ唯一勝っている可能性がある部分なのだから。