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カテゴリ:OPERA
第1位及び聴衆賞の小川栞奈さん(ソプラノ)(※写真は今年5月に撮影) Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist 第22回東京音楽コンクール本選 声楽部門 結果 第1位:小川栞奈(ソプラノ) 第2位:砂田愛梨(ソプラノ) 第3位:山田知加(ソプラノ) 入選:ノ・グァングン(バス)、市川敏雅(バリトン) ※演奏順 聴衆賞:小川栞奈(ソプラノ) *** 稀に見るハイレヴェルバトル 堪能しました。 *** 第22回東京音楽コンクール 本選 声楽部門 2024年9月1日(日)16:00審査開始 18:00終演 18:50表彰式開始 東京文化会館 大ホール 指揮:園田隆一郎 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 第2位受賞の砂田愛梨さん(ソプラノ)(※写真は2018年に撮影) Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist 1.砂田愛梨(ソプラノ) SUNADA Airi, Soprano G.ドニゼッティ: コンクールでは全てとはとは言わないが、歌唱順は超重要。特にトップバッターは他の試金石とされるし、他の方の歌がどんどん上書きしていくので不利と言えなくもない。 重要な本選でトップバッターになってしまった砂田氏。彼女が目指してたのはテッペンしかなかったはずなので彼女のためには残念だがそんな条件下で精いっぱい健闘したと思う。 今年は曲目をリリックからリリック・コロラトゥーラ寄りに戻し、やや重い曲はすべて排した選曲。 オペラ『ドン・パスクワーレ』より「騎士はその眼差しに」 "Quel guardo il cavaliere" from Donizetti's 'Don Pasquale' Range : D4 to C#/Db6 Norina Fach:Lyric Coloratura Soprano ホールいっぱいにパワフルに響き渡る美声は稀有。はっとさせる。 スコア上最高音はHi Cis カデンツアで最高音 Hi C? Hi D? オペラ『連隊の娘』より「こうして決まってしまうのね~フランス万歳」 Donizetti: La fille du régiment Act 2 C'en est donc fait... Par le rang... Salut à la France Par le rang et par l'opulence - No. 9, Aria with Chorus Marie soprano Fach : lyric coloratura Range : C4 to A#/Bb6 チェロの独奏がすばらしい。前半の最高音はBb Salut à la France Salut à la France へ。 マリーの喜びをあますところなく表現。これがオペラだ!というきらめくパワーと感情の奔流。最後はHi Es。…曲終わりのHigh Esは Natalie Dessay で確認。 第3位受賞の山田知加さん(ソプラノ)(※写真は2023年に撮影) Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist 2.山田知加(ソプラノ) YAMADA Chika, Soprano R.ワーグナー:オペラ『タンホイザー』より「厳かなこの広間よ」 “Dich, teure Halle” Elisabeth’s Act II aria from Wagner’s Tannhäuser 最高音は最後の方のH(スコアで確認) リリコスピントソプラノ。高音が美しく伸びる。立派なユーゲントリッヒャー・ワグネリアン・ソプラノぶりです。 P.I.チャイコフスキー:オペラ『エフゲニー・オネーギン』より 手紙の場「破滅してもいいわ」 タチアーナのアリア。ネトレプコを思わせる声の陰影。美声です! 山田さんはカウンターテナーの中嶋俊晴さんに師事しているということで、会場にもいらっしゃいました(中山美紀さんはじめ、先日の「リナルド」の出演者も応援に!) 中嶋俊晴さんは、山田さんが「よい演奏をしてくれたので嬉しかった」とのことです。ご感想ありがとうございます。生徒さんの三位入賞おめでとうございます。 写真 3.ノ・グァングン(バス) NOH Gwanggeun, Bass P.I.チャイコフスキー:オペラ『エフゲニー・オネーギン』より「誰でも一度は恋をして」 Tchaikovsky: Eugene Onegin Prince Gremin's Aria / Ария Гремина Любви все возрасты покорны (Lyubvi fse vozrastï pokornï) Prince Gremin : bass Fach : lyric bass Range : F#/Gb2 to D#/Eb4 ノ・グァングンさんはリリック・バス。 低音域もよく出る。 G.ロッシーニ:オペラ『セビリアの理髪師』より「陰口はそよ風のように」 Il Barbiere di Siviglia - La Calunnia Don Basilio's aria from Rossini's Barber of Seville Don Basilio : bass Fach : buffo bass バスならもっと爆発的な発声も欲しいところだが、芝居っ気もあってすばらしい。 G.ヴェルディ:オペラ『ドン・カルロ』より「ひとり寂しく眠ろう」 Don Carlo: "Ella giammai m'amò" Philip II : bass Fach : heavy bass Range : F#/Gb2 to E4 チェロの見せ場。 歌唱…なんと美しいこと!これはマジですばらしい!このアリアは入り(夢見ているシーン)がバスにとって高音域なのでそこが美しいと感銘する。この時点で彼の入賞は確実だと思ったが…。 4.小川栞奈(ソプラノ) OGAWA Kanna, Soprano G.ヴェルディ:オペラ『ファルスタッフ』より「夏の爽やかなそよ風の吹く中を」 Nannetta : soprano Fach : soubrette / Lyric Soprano Sul fil d'un soffio etesio Range : D#/Eb4 to A6 ナンネッタのアリアにぴったりの、妖精の女王のような全身銀色のスパンコールに輝くロングドレス。袖状の長いケープも優雅そのもの。 お声もまさに銀色!透明で清澄な声。ナンネッタにぴったりだった。 C.グノー:オペラ『ロメオとジュリエット』より「私は夢に生きたい」 Je veux vivre dans le rêve (Juliet's Waltz) - No. 3, Arietta from Act I of Roméo et Juliette by Charles-François Gounod Juliet : soprano Fach : lyric coloratura Range : C4 to D6 快活なジュリエット、見事なHi D! アジリタはHi Cまであがる。しかし彼女のコロラトゥーラの腕前はまだまだこんなもんじゃなかった… V.ベッリーニ:オペラ『夢遊病の女』より「ああ、信じられないわ」 Ah! non credea mirarti ... Ah, non giunge - Part of No. 14 from Act II, Scene 2 of La Sonnambula by Vincenzo Bellini Amina : soprano Fach : lyric coloratura Range : E4 to A6 Ah, non giunge もう~これがすごかったです。もう会場中ぶっ飛びでした。超高音を次々に繰り出すものすごいパフォーマンス。まるで打ちあがる花火乱れ打ちのよう。 Hi Es? Hi F? 最後はHi F?わからんけど完璧! 超絶技巧の極致に会場はこの日最高の盛り上がりに達する。 入選の市川敏雅さん(バリトン)(※写真は2023年に撮影) Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist 5.市川敏雅(バリトン) ICHIKAWA Toshimasa, Baritone G.ドニゼッティ:オペラ『ドン・パスクワーレ』より「天使のように美しい娘」 Bella siccome un angelo - No. 2, Romanza from Act I, Scene 1 Don Pasquale by Gaetano Donizetti Doctor Malatesta: baritone Fach : lyric baritone Range : G#/Ab2 to F4 見惚れちゃって…笑 芯のある深いカヴァリエバリトン(フル・リリック・バリトン)で美声、男前、背が高いイケメン、兵士のように背筋がまっすぐ、セクシーな髭、どこをとってもオペラの中に存在している怪しいイケ・バリですがな(つまりマラテスタ)。カデンツァも華麗に決める。 G.プッチーニ:オペラ『ジャンニ・スキッキ』より「声は似ていたか?~頭にはナイトキャップ」 Era eguale la voce? … Si corre dal notaio … In testa la cappellina - buffo aria from Gianni Schicchi by Giacomo Puccini Gianni Schicchi: baritone Fach : lyric baritone Range : B3 to G4 すばらしい!芝居っ気あり。 E.コルンゴルト:オペラ『死の都』より「私の憧れ、私の空想(ピエロの歌)」 Pierrot's Tanzlied (Mein Sehnen, mein Wähnen) from Act II of Die Tote Stadt by Erich Korngold Fritz: baritone Fach : lyric baritone Range : C3 to F#/Gb4 もう、うっとり~魅了される。レガート、すばらしい! U.ジョルダーノ:オペラ『アンドレア・シェニエ』より「祖国の敵」 Nemico della Patria from Act III of Andrea Chénier by Umberto Giordano Charles Gérard : baritone Fach : dramatic baritone 聴き惚れる演唱。お疲れ様でした! 皆さんの声をかき消さないために聞かせどころの長音では、オケを寸止めで終わらせるところがすごい園田さん!歌手の気持ちに寄り添っています! *** 表彰式>>(メモを元に概要を記載) 進行(文化会館のかじなおこさん)「東京音楽コンクールは、芸術家としての自立を目指す可能性に富んだ新人音楽家を発掘し、育成・支援を行うことを目的として実施するコンクール。」(登壇している主催者代表(都の人)とみおかまさこさん、副館長とたによしたかさんを紹介) ・審査員の紹介 総合審査員長:野平(のだいら)一郎(東京文化会館音楽監督)(Composer) 顧問:堀 正文(NHK交響楽団名誉コンサートマスター)(Violinist)、フィリップ・マヌリ(作曲家) 以下は声楽部門の審査員:市原多朗(Ten) 大倉由紀枝(Sop) 大島幾雄(Br)(部門審査員長) 久保田真澄(Bs) 高橋薫子(Sop) 竹本節子(Mez) 堀内康雄(Br) 彌勒忠史(Ct) 山下牧子(Mez) 吉田浩之(Ten) ヴィンチェンツォ・デ・ヴィーヴォ(イタリア サン・カルロ劇場元芸術監督) 高橋直史(指揮者)(三部門共通の審査員) ・コンテスタント5人の紹介 ・審査結果発表(上記のとおり) ・代表して第1位小川氏のあいさつ 「この度はお足元の悪い中お越しいただきありがとうございます。今日は皆さま、レベルの高いコンテスタントの演奏を楽しんでいただけたと思う。審査員の方々も長期間ありがとうございました。 実は8月中旬に交通事故に遭った。交差点で車に衝突された。今でも体のつらいところがありながらも…人生いつでも歌えるようにしていかないといけない。 あの瞬間は死んだと思った。こうやって歌えることが幸せ。 今日は楽しく幸せな時間だった。80~90歳まで歌える歌手になりたい。応援よろしくお願いします!(拍手)」 大島幾雄(東京二期会、バリトン) 撮影:2017年7月 Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist ・大島幾雄部門審査員長 講評: 「今日は5名の方、ありがとうございました。すばらしかったです。審査員の方に「(講評について)何か言うことありますか?」と聞いたら、「言うことない」と。「誰がどの順位になってもおかしくない出来栄えであった。」と。私もそう思います。なにしろこの客席数2300の会場で東フィルをバックに堂々と美しく歌えることがすばらしい。とげとげしいこともなく、なめらかに、とても美しいものを聴いた印象。 ソプラノが3人、レッジェーロ(小川)、リリコ・レッジェーロ(砂田)、リリコ(山田)、そしてバリトンとバス。全部異なる声種で堂々と美しくお歌いになって感動を与えたこと自体がすばらしい。私も審査していていい音楽を聴かせてもらった。今年の夏は暑くて台風も来て、その中でここに集まって歌の祭典をできたこと自体、とても幸せなことだと感謝を申し上げたい。 時代は変わって、私にも(歌手として)若い頃、ベテランの頃、「大ベテラン」の頃があった。印象的なのか私が40歳になった時、団塊の世代なのだが、その頃、40歳を超えて歌うことは大変でした。時代の流れ、運命、体調、経済的問題、環境的問題があって、40過ぎまで幸せに歌っていることが難しい時代だった。 40になった時にそう人に言ったら、「そうか、これからだね」と言われた。50歳になった時には誰も何も言わなかった。 先ほどスピーチで、80,90までとおっしゃっていたけど大変ですね、アルトになってしまうかもしれませんね。今は50歳になっても「これからだね」と言われる時代に入ると思うのでしっかり覚悟してください。 40歳でないと歌えないものもあるし、60でも70でも同様。ヴェルディは80過ぎて「ファルスタッフ」を書いたが、年をとって初めてわかることもある。 声楽の皆様も何年かたって今日と同じ歌を歌った時に、「あ、こうやって歌うんだ」とわかる時代がやってくる。人生百年、声楽家の道もまだ長い。何十年も続けていく覚悟で歩んでいってほしい。本日はありがとうございました。」(拍手) ・野平一郎東京文化会館音楽監督: 「コンクールを7月の頭から始めて、今日無事に終了できた。これも主催者、関係者すべてのおかげと謝意を表したい。 審査の先生方も大変だったと思う。改めてお礼申し上げたい。 さて大島先生が話したように今日は音楽を楽しんだ。すべてキャラクターが違って的確に表現している。 審査というよりオペラアリアの夕べを楽しんだ。 すばらしい東フィルと園田さんのサポートで演奏出来て得ることが大きかったことだろう。これからも長い道のりだ。できるだけ活動をサポートしていきたい。よりよい音楽家へと成長していただきたい。すばらしい演奏でした。ありがとうございます。」 (進行)「文化会館では1月13日の優勝者コンサートのほかにも「上野でクラシック」「フレッシュ名曲コンサート」など若手演奏家に機会を提供している。 (了) 第1位及び聴衆賞の小川栞奈さん(ソプラノ)(※写真は今年5月に撮影) Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年09月03日 09時26分32秒
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