|
テーマ:お勧めの本(7406)
カテゴリ:歴史学習
昨日図書館で気分転換がてら読み始めたら面白そう。 って、つい読み続けたらまた勉強に障りが出る。借りる手続きをして続きは家で。 第一章から第3章は戦前の諜報史。 開戦前の交渉から山本五十六大将機の待ち伏せ、台湾沖航空戦、、、物量の違いもさることながら、日本のやることはアメリカにダダ漏れの状態だった。情報戦でも日本は負けだった・・・ という訳でもなかったのね。少なくとも戦術レベルでは相手を出し抜くこともあった、みたいなエピソードも。まあ結局は負けるんだけど。 むしろこの本は後半がメッチャ面白い。 P.119 情報部のインテリジェンスに信用を置かなくなった作戦部は、情報収集の現場から直接インフォメーションを拾い上げることとなり、日本軍における情報の流れはどんどんいびつなものになっていった。また政治家や軍上層部のレベルでは、欲しい時に欲しい情報が手に入らない、もしくはいきなり生の情報が上がってくる、といった形になり、正確なインテリジェンスによって情勢判断を行い、国策を決定していく、という構図は成り立たなくなっていたのである。 !!!これ3.11の、特に原発事故初動からのウチらの政府、 そのまんまじゃないっすか! P.120 インテリジェンスの過程で重要なのは、情報分析、評価を効果的に行うための情報共有である。 P.123~ 作戦部が情報を扱いだすとどうしても戦略や作戦目的のために情報を取捨選択してしまい、最初に作戦ありきで、情報は目的を正当化するために使用されてしまうことになる。 P.195~ (前略)一般的に情報の政治化と呼ばれる問題であり、行動しようとする人間が情報を扱い出すと、手段と目的が入り混じるために客観的な情勢判断がむずかしくなってしまう現象である。これに対する処方箋として、アメリカの著名なジャーナリスト、ウォルター・リップマンは、「実行するスタッフと調査するスタッフをできる限り厳密に分離しておくことしかない」と述べている。 P.217~ 暗号解読に関して言えば(中略)この分野で日本がまったく無防備であったというわけではない。 それよりも深刻な問題は、日本がインテリジェンスを組織的、戦略的に利用することができなかったという組織構造や、対外インテリジェンスを軽視するというメンタリティーにあった。イギリスなどと比べると、政治家が情報を戦略的に利用する意図が低かったために、日本が戦略的劣勢に追い込まれてしまったということである。 そのまま現在の多くの組織で依然として当てはまる、検討すべき事例が多数。 面白い、本当に面白い本。一気読みしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年08月04日 09時18分52秒
コメント(0) | コメントを書く
[歴史学習] カテゴリの最新記事
|