|
テーマ:アメリカ文学(10)
カテゴリ:この本がお勧め!
はあ、いよいよ8月の最終日がやってまいりました。あー、憂鬱。 とは言え最近は「8月31日まで休み、9月1日は2学期の始業日」ではなくなったんですね。 今年の2学期は8月28日からスタートする学校が増えたみたいです。 でも、、、夏休みが終わってしまうあの絶望感、後悔、自分への怒り等々、やっぱり8月31日にこそ味わいたい。 「おいおい! はるか先だと思っていた(正確にはそう自分に言い聞かせていた)9月1日って明日なのかよ。今日一日で宿題を全部仕上げるって絶対に無理じゃんか。あ˝ー、どーすんのよ、オレ?」 みたいなあの感じ。 と、とりあえず自分は読書感想文だけでも書いておくことにしますかね。 (ただしウチの子はこれコピペして提出しちゃダメだぞ) この夏、自分が少しずつ読み進めていったのはこの本です。
楽天ブックスでは「ご注文できない商品 」になっている。でもAmazonなら買えますのでそちらへのリンクを貼っております。 自分は沢木耕太郎の「旅する力 深夜特急ノート」で紹介されていた縁で随分前に購入。で、その後は未読のままになっておりました。 持て余していたわけではないんですよ。 少しずつ読み進められるタイミングを待っていてこの夏ようやく読み始めたわけです。 自分はスタインベックの作品が大好きなんです。この本は言わば「とっとき」だったんですわ・・・ 1960年のある日、彼は家族に別れを告げ、荷台をキャンピングカー様式に改造したトラックで旅に出ます。 おっと、一人っきりではありませんよ。老いたビーグル犬、チャーリーも一緒です。 有料のキャンプ用地、渓流、ときどきホテルに宿泊しながらアメリカ本土をあっちに行ったりこっちに行ったり(←クリック!)。 国道沿いのダイナーの描写、ガソリンスタンドでのやり取りは自分が大好きな「怒りの葡萄」そのまんま、、、でもないんです。 そこが面白い。 「怒りの葡萄」で描かれていたのは1930年代のアメリカです。大恐慌と不作で農業労働者として移動していくオクラホマの小作農一家の物語。 一方、スタインベック自身の旅は1960年。スタインベックがノーベル文学賞を受賞する(1962年)前ではありますが既に彼は大作家となっている。経済的にもメッチャ余裕がある筈。 もちろん「自分がスタインベックであることを明かさず」での犬連れの質素な旅なんですよ。 それでも「怒りの葡萄」で描かれていた旅とは全然違っている。 そこが面白い。 出てくるツールもだいぶ違う。 「怒りの葡萄」ではT型フォード、ニュース映画、ルート66 30年後の「チャーリーとの旅」ではモバイルハウス、テレビ、ハイウェイ (モバイルハウスってこーゆーやつね。多分1960年頃のは銀色で丸っこいタイプだったのかも) 「チャーリーとの旅」からさらに30年後が1990年、でもってさらにさらに30年後が2020年。 もう間もなくです。 スタインベックが現代のアメリカを旅行したら一体何を見たのやら、何を書きとめたのやらね。 すっごく読んでみたいです。 「チャーリーとの旅」の後半には南部に、つまり1960年のディープサウスに向かいます。 そこでスタインベックは「白人と黒人を同じ小学校に通わせるなんてとんでもない」みたいな騒動を目撃するんです。 詳細はこちら⇒クリック! スタインベックはかなりリベラルな人、と言うか当時のアメリカでは危険なほど容共的なスタンス。 上っ面だけの「人種差別はんたーい」で済ませることはしません。 「つまり、自分の妹を彼(黒人)の嫁にできるかってことですかね?」と実際問題に当てはめてきちんと言葉に出している(421ページ) オバマ大統領やその次の選挙戦のヒラリー・クリントンとトランプとの一騎打ち。しかも大方の予想を裏切ってトランプが大統領になっている、という2017年の状況をスタインベックならどう評するか、という点も興味深いところです。 あと「チャーリーとの旅」がきっかけで久々に「怒りの葡萄」と「赤い小馬」を手に取って(ざっと読みですが)再読することも出来ました。 ちなみに「怒りの葡萄」は何種類もの和訳本がありますがイチオシはこの大久保康雄訳ですよ。
スタインベックの故郷、サリナスが舞台の「赤い小馬」は連作の短編集。こちらも超お勧めです!
にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[この本がお勧め!] カテゴリの最新記事
|