働くこと育てること
「働くこと育てること」 落合百利子 写真・文 草土文化 おもちゃが出しっぱなしで部屋に散らばっている。その向こうの部屋に子どもたちと川の字になって寝ている母親。もしくは、子どもがご飯を食べているその部屋の中に干された洗濯物。ぐしゃぐしゃに重ねられた衣類。 働きながら子どもを育てる、その毎日のあわただしさと、それでも強い家族の絆を、それらのモノクロの写真が切り取って見せてくれる。そうなんだ。ファッション雑誌やテレビのように、部屋が片付いたりしていないのよ。とっちらかっているのが本当なのよ。 この本は写真家の落合さんが、働く男女に一日同行してその生活を撮影した雑誌の連載をまとめたもの。職業は教師、助産婦、運送業、保父、劇団員、内職…とさまざま。大家族だったりシングルマザーだったり、障害児の親だったり。いろいろだけれど、だれもが毎日を一生懸命生きてる。悩み迷いながらも、自分のやりたいことはなにか、考えながら突き進んでいます。 お風呂でホッとする時間、食事の風景を撮影したものが多いのは、それが仕事という外の世界とは違う顔を見せる瞬間だからでしょうか。 それぞれの人の日常とこれまでの人生。 同じ時代を生きている仲間として「一緒に頑張っていきましょう」といいたくなります。