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カテゴリ:ベトナム
サイゴンがよりフランス的、パリ的に感じられるひとつの装置、カフェ。政治や経済はロシアや中国に倣っても、文化はフランスに倣う、ベトナム。アジア中どこへ行っても、文化面ではアメリカの影響が強い中、フランスの良き(?)影響が感じられるサイゴン。最近ではフランス語が話せる人がどんどん減っていますが。
この街のいたるところにカフェがある。英語のようにコーヒーショップとは呼ばず、やはり呼び方はカフェ。サイゴン市内でも、その数は1000を超えるのではないだろうか。こんなにカフェの多い国もめずらしい。ベトナム人は何故こうもカフェを愛するのか。考えられる理由は、 1 フランスの影響。 2 場所さえあれば、誰でも小資金で始められるから。 3 ベトナムはコーヒー豆の生産量が多いから。ロブスタ・コーヒーでは世界最大の輸出国。 4 手軽な息抜きの場として、雑談、商談の場として、誰にでも気軽に利用できるから。 おそらく、いずれもあたっているでしょうが、決定的な理由はわかりません。とにかく、カフェはベトナムでは生活の一部として機能している。カフェ(特に通りに面しているカフェ)は、ただコーヒーを飲むだけではなく、いろいろなことができるので便利。例えば、 □ カフェではタバコを一本一本ばら売りしてくれ、火をつけてくれる。よく使う薬なども最低限おいてあるところもある。 □ 近くに屋台があれば、フランスパンであれ、麺類であれ、屋台の人にたのんで持ってきてもらい、カフェで食べることも可能。会計は後でまとめてカフェに払えばよい。 □ 店に新聞、雑誌売りが来るので、買って、コーヒーを飲みながら読める。 □ 宝くじ売りが来るので、買ったり、前回買ったやつが当選しているかどうか調べられる。 □ ハンモック売りがやって来る。 まだ一度もハンモックを買った人を見かけたことがない。いったいカフェでハンモックを買う人がいるのだろうか。 □ 耳かきや爪きりなど、小物を扱う物売りがやって来る。 □ 小さな貧しい子供がガム売りにやって来る。ついつい同情して買ってしまうこともある。 □ セオム(バイクタクシー)やシクロ(人力車)などが近くに控えていて、移動に便利。なければ、店の人が呼んでくれる。 □ 物乞いがやって来る。 □ ニセの坊主も托鉢にやって来る。共産主義国ベトナムでは、熱心な仏教国ビルマやタイ、カンボジアなどと違って、お坊さんはあまり尊敬されていない。 □ 何か情報がほしい時、店の人に聞けばいろいろ教えてくれる。わからなければ、近くの誰かに聞いてくれることもある。場合によっては、何人か集まりケンケンガクガク討論になることも。 上記のように、カフェではいろんなシーンが繰り広げられ、日本の喫茶店のように、落ち着いて考え事ができるようなところではありません。頻繁に誰かが干渉してくるので。それ故、人間観察していてもおもしろい。 屋外カフェに比べると、店を構えて、冷房をきかしているところはまだプライバシーが保てます。カフェの中には恋人達に特化したものがあり、そこに入ると、中は別世界。 だいたいカップルで入るところ。二人が仲睦まじく寄り添い、センチメンタルな音楽、店のシックなデザイン、暗い照明などがムードを盛り上げる。椅子が二人専用の椅子だったりすることも。あくまでも椅子席なので、他の客からも見えるし、ウェイターは来るしで、過激なことはできません。ベトナム人はフランス人のようによく話す。愛は単刀直入にではなく、語らいながら、ささやきながら、雰囲気を盛り上げていくのがベトナム流。議論好きなところといい、愛の語らいが長いのといい、フランス人の影響か? 他にもまだまだ別種のカフェがあり、実にベトナムのカフェは奥が深いといえる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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