如意宝珠を求めて、、、
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十薬の生い茂れる静寂に丸い紅さす蛇苺かな
2015年06月11日
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五月雨や庚申塚の花さしにホタルブクロの首を垂らしぬ
最近の若いもんはと口を衝き急に白髪になってしまいぬ
呆けてなお戰は語らず寝たきりの父様母様恋しと呼ぶに
環のような道路の不思議老に聞くかつてこの地は大きな沼とな
諦めも大事なのかと来ぬ電話ホットケーキをひっくり返す
青年の売り声明るし道の駅お国訛りも旅の土産と
2015年05月06日
二連休帰省する日の朝早く丸まりて寝る犬揺り起こす
花の名は思い出せぬがこの花樹の花は真っ赤と添え木する母
線弱し文字をなぞれば二枚目が二度書きなりと母帰さるる
茫として石ころだけの蛇尾川を過ぎサングラス空はもう夏
歳月は人をやさしくなんて嘘同窓会の名簿を作る
花見客去りて戻りし閑静に大欠伸するベンチ猫かな
2015年04月09日
二度ほどの同居の話断れど娘にも義父母の居りて候
昼過ぎに起き来る人に皆やさし置いてけ堀の梅の白さよ
手さぐりで止める目覚ましそれからのうつらうつらの春の泥かな
抱いてきし老い犬そっと地に置けばまぶしき春に尾を垂れ震え
子従わず嫁従わず犬従わずされど桜のやさしく降りぬ
真夜中の運転を終え同僚の車も洗い帰るアパート
2015年03月11日
再会に静かに華やぐ若き娘ら会葬の列それも善き哉
若き日の街を歩けば妹の名の美容室今も明るし
心まだ少年なればばね指と言われることの少しくうれし
家を出し子にまだ届く郵便物DMさえも母は束ねる
歩き出す脚の段取り考えているような犬に付き添いて春
2015年03月10日
新参の犬なれば好機逃がさじ今日の更地に後ろ脚上ぐ
2015年02月11日
真四角の更地となればつくづくも我は土地なり土には非ず
玄関に積まれしゴミや幕末記歴史読本順不同
表札も外さず壊す家なれば立ち会う人のなきもさびしき
小雪降る夜は苔生す燈籠の灯り肴に濁り酒飲む
鉄の爪ちょいとつまんでバリバリとまずは屋根よりはぎ取る朝
LET IT BELET IT GO時代は回るか勝手にしやがれ
2015年01月10日
泥付きの葱戴けど置き場所に困りて三日軒下に待たす
いやでいやでしょうがなかった本当は同窓会に師はのたまう
代替わりした故郷の若犬は帰省の吾に気持ちよく吠ゆ
ピッピッと改札過ぎる人波に紛れて紙の切符差し込む
券売機切符買えずに爺様のおろおろするを見ていたあの頃
真剣な反省会なら神聖な剣菱薬缶の蓋でいただく
2014年12月04日
スケジュール書くカレンダー台所隠し事なき寂しさひとつ
暖飯器当番の日は好きな子の弁当そっと開けてみるなり
今さらに読み返してみる開墾碑傘差して待つ「新田」バス停
2014年12月03日
連れ合いのまだ帰れるを信じてる義母なんですよと渡す靴べら
駄菓子屋は硝子の引き戸昼時は奥の部屋よりはいよーの声
蟻どもの道なりに行かぬ長き列先頭以外は行く先知らず
2014年11月09日
風呂の湯に口まで浸かり吾が太古魚を想う尾骶骨撫づ
縁故者の連絡乞うの立札が墓石と共に消えて行く秋
他人様にゃとっつきにくいやも知れぬとにかく笑えと祖母は教えり
耳立てて吾が帰り待つ犬あれば今日の仕事は八時までとす
ランドセル尻にし滑り落ちた土手左窓に見友を見舞いに
真夜中にぴちゃりぴちゃりと水舐める犬の音して秋安らけし
2014年10月11日
帰りたい帰りたいと言う老人に何処へと聞けぬ老いの片割れ