その7
制動距離を縮めることはタイムアップにつながります。ブレーキはキャリパーを社外品に交換することはできないので、交換できるのはパッドとローター・ブレーキラインぐらいです。インテでは純正のブレンボのキャリパーがキャパオーバーで開いてしまうなどのトラブルがありましたが、ヴィッツやマーチなどではそういうことはほとんどありません。しかしヴィッツはABSの解除が禁止されているので、独特のセッティングが必要となります。各社レース用のパッドが開発され、それぞれがかなりのレベルまで仕上がっているので、どれを使うかはスポンサーの関係や、フィーリングで決めることになります。上位入賞者がどんなパッドを使っているかはある程度わかるので参考にできますが、最終的には使ってみて判断します。おおまかには初期制動が強いタイプ、奥で効くタイプ(初期制動が弱い?)、平均して効くタイプ(両者の中間?)があり、それぞれに効きの強さ(制動力)があります。中にはダストが多いとか、ローターへの攻撃性が高い(すぐガタガタになる)等を判断基準にしているドライバーもいます。いろんなパッドを使いましたがよほどのロットの不良品でない限り後半フェードして使い物にならないということはありませんでした(あくまでもスプリントレースで)。ブレーキに関して気をつけることは前後のバランスです。特にmineはブレーキングがタイムに直結していたので、いろいろ勉強になりました。一般的にはABSは制動距離を短くするということになっていますが、レースなどでは逆にネックになることが多く、解除した方が速く走れます(あくまでもDRYで)。ABSはロックを関知すると制動を逃がしてしまうので、ドライバーとしては思っているより車が前に進む感覚になってしまいます。それと一般道の走行で想定されているので、サーキット走行のように200km/h近くから一気に40~50km/hまで減速などには、ロックを関知して制動を逃がしたり、また制動を掛けたりする切り替えが追いつかず、1秒間に数十メートルも進んでしまう状況ではかえって制動距離が伸びてしまいます。