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パクス・ジャポニカ Vol.2

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2012/06/04
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テーマ:史跡めぐり(508)
徳山港の沖合い約10kmほどの所に大津島があり、徳山港の防波堤のような格好で、南北に約10kmほどの長さを持つ島です。


大津島へは徳山港から定期旅客船が出ており、途中同じ大津島にある瀬戸浜港・刈尾港に寄港しながら、大津島の南端にある馬島港まで、約30分の所要時間でした。

マリンブルーに輝く穏やかな瀬戸内海を眺めながらの、ちょっとしたクルーズではありましたが、徳山湾と大津島の歴史を思うと複雑な気持ちとなり、神妙な面持ちで海を眺めていました
大津島 (4) (500x375).jpg


馬島港に着いてみると、待合所と浮き桟橋があるだけの、まるで漁港のような小さな港でした。
大津島馬島港 (500x375).jpg
大津島の方も観光用のお店が並ぶわけでもなく、お年寄りと軽トラが集まって防波堤で釣りや話をしているような、そんな長閑な島でした。


そんな大津島にはかつて特攻兵器「回天」の基地があり、若い搭乗員たちが日夜訓練を行った場所でもあります。
大津島回天の島 (500x375).jpg


回天記念館基地模型 (500x377).jpg
かつての基地の模型(回天記念館)


回天の整備工場のあった場所は小・中学校の敷地となっていますが、塀や石段などに当時の面影が残っていました。
大津島 (11) (500x375).jpg


大津島石段 (375x500).jpg
当時から残る校庭脇の石段
搭乗員の訓練にも使われたこの石段は、「地獄の石段」と呼ばれていたそうです。

また兵舎(現在の回天記念館)に続く急な坂道は、「回天坂」とも呼ばれていたそうです。
大津島回天の坂 (500x375).jpg


小・中学校の敷地にはかつて回天の整備工場があり、港の反対側にの海に向かってトンネルが延びていました。

大津島トンネル (500x375).jpg
全長約200mのこのトンネルは、回天をトロッコに乗せて海まで運んでいたものです。
搭乗員もこのトンネルを抜けて、回天に乗り込んで行きました。


トンネルを抜けた先には周防灘の海が広がっており、出口脇には「魚雷発射場跡」の碑が建っています。
大津島トンネル (1) (500x375).jpg


大津島魚雷発射基地 (2) (375x500).jpg
「この地より 海の砦として 若ものは征く」


大津島魚雷発射基地 (500x376).jpg
魚雷発射場
昭和14年に建設され、通常の魚雷発射試験場だったものを、回天の発射訓練場にしたものだそうです。

現在もその発射場のピットを見ることができました。
大津島魚雷発射基地 (1) (500x375).jpg
ここから訓練のため、回天が「発射」されたそうです。
回天は乗り物ではなく兵器としての扱いなのか、「出航」ではなく「発射」の表現が使われていました。

回天の訓練においては、習熟度に応じて単純直線往復、大津島半周、大津島一周などがあり、他にも停泊艦襲撃、航行艦襲撃などの訓練を行っていたようです。

大津島 (9) (500x375).jpg
かつての回天基地の遠景と訓練海域

全国各地から集まって来た回天の搭乗員、瀬戸内海を見るのが初めての人もいたかも知れません。
回天の中からはその海を見ることはなかったでしょうが、訓練の合間に見ていただろうこの海が、もしも慰めになっていたなら幸いです。
大津島黒髪島 (500x375).jpg

この後はいよいよ回天記念館、搭乗員の方々の切なる思いが伝わってきます。


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最終更新日  2019/04/03 11:05:29 AM
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