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テーマ:史跡めぐり(508)
カテゴリ:芸術・スポーツ
下関の唐戸は童謡詩人金子みすゞとのゆかりが深く、詩の大半はここで創作されたものです。
その金子みすゞゆかりの場所を巡る散策コースがあり、「金子みずゞ詩(うた)の小径(こみち)」と名付けられています。 スタート地点は旧秋田商会ビルの前で、ビル内には金子みずゞのコーナーが置かれていました。 旧秋田商会ビル 秋田商会そのものは、金子みすゞとは特にゆかりはないようです 金子みすゞは長門市仙崎で生まれ、20歳の時に母の再婚によって下関に移り住んできました。 再婚した先は母の妹(叔母)の嫁ぎ先でもあり、上山文英堂書店を経営していました。 金子みすゞが移り住んだ上山文英堂書店は残っていませんが、近くの「寿公園」には懸賞碑が建てられています。 ここから徒歩10分ほどの距離にある商品館内の上山文英堂の支店で働きながら、「金子みずゞ」のペンネームで詩の創作と雑誌の投稿などを行っていました。 上山文英堂の支店があった商品館跡 商品館は現在のショッピングセンターのようなところで、その中に上山文英堂の支店があったそうです。 ちなみに商品館跡から歩いて5分ほどのところには、林芙美子の生誕地があります。 金子みすゞは林芙美子より1つ年上なので、ほぼ同時代を生きたことになりますが、顔を合わせたことはないかも知れません。 金子みすゞが下関で詩の創作を行っている頃、林芙美子は尾道から東京に移って執筆活動を始めていました。 詩の小径には所々に金子みすゞの詩碑があり、寿公園から商品館跡の間にある弁財天橋にも詩碑がありました。 金子みすゞも通勤で渡ったと思われる弁財天橋と「ふしぎ」の詩碑 ~ふしぎ~ わたしはふしぎでたまらない、 黒い雲からふる雨が、 銀にひかっていることが。 わたしはふしぎでたまらない、 青いくわの葉たべている、 かいこが白くなることが。 わたしはふしぎでたまらない、 たれもいじらぬ夕顔が、 ひとりでぱらりと開くのが。 わたしはふしぎでたまらない、 たれにきいてもわらってて、 あたりまえだ、ということが。 詩の小径は唐戸を一周するようなコースになっており、最後は亀山八幡宮がゆかりの地となっていました。 (詩の小径コースの終点は、唐戸市場となっています) 亀山八幡宮の横にはかつて三好写真館があり、金子みすゞが26才で服毒自殺する前日に写真を撮った場所でもあります。 かつて三好写真館のあった場所 亀山八幡宮は特にゆかりの深い場所で、亀山八幡宮での詩をいつか残しています。 ~夏越まつり~ ぽつかりと ふうせん、 瓦斯の灯が映るよ。 影燈籠の 人どほり、 氷屋の聲が泌みるよ。 しらじらと 天の川、 夏越祭の夜更けよ。 辻を曲れば ふうせん、 星ぞらに暗いよ。 ~噴水の亀~ お宮の池の噴水は 水を噴かなくなりました。 水を噴かない亀の子は 空をみあげてさびしさう。 濁った池の水の上 落葉がそつと散りました。 ~鶴~ お宮の池の 丹頂の鶴よ。 おまへが見れば、 世界ぢゆのものは、 何もかも、網の目が ついてゐよう。 あんなに晴れたお空にも、 ちひさな私のお顔にも。 お宮の池の 丹頂の鶴が、 網のなかで靜かに 羽をうつときに。 一山むかうを お汽車が行つた。 ~雨の五穀祭~ ざんざの雨に流された、 五穀まつりの夜更けて、 いまはちらほら星が出た。 誰もとほらぬ、ぬかるみに、 消えた提灯映つてる。 遠い通りを自動車で、 わつと囃して通るのが、 空ゆくやうに、きィこえた。 ひとつ、ふたつ、みィつ、 お空に星がふゥえた。 どこかの軒の提灯が、 またひとつ、消えた。 関連の記事 金子みすゞ記念館(山口・長門市)→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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