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エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング / エラ・アンド・ルイ [SACD Hybrid] 音質の良いサッチモの録音を求めて買ったSACD。1曲目のエラの歌い出しを聴いた瞬間に,ヴォーカルが得意なオートグラフ・ミニと真空管アンプがあってよかったと改めて思った。2人とも本当に良い声だ。特にエラの,聞きやすいが存在感のある声はとても印象的。リマスタリングのオノ・セイゲン氏はライナーノーツで次のように書いているが,まさに私も同じような印象を持った:「ジャズ・ファンでなくともイントロのピアノ10秒のあと完全に別世界に引き込まれる。エラの声が出たところで鳥肌。実に90%の人が鳥肌で,そうでない人は,こんな歌手の声を聞いたことがないのであっけにとられているのである。」 1956年のモノラル録音だが,一聴しただけでは今年の録音だと言われても驚かないほどの生々しさがある。エラとルイの極上のヴォーカルとトランペット,そしてそれらを支えるオスカー・ピーターソン・トリオの心地良い演奏。今となっては決して顔を合わせることのできないこの3者が,細部まで最新の録音のようなリアリティを持って眼前に立ち表れてくる。 このディスクは,ヴァーヴ60周年の記念企画として2004年に発売されたSACDのシリーズ「スープリーム・サウンド・エディション」の中の1枚だが,オノ氏によるとマスターの録音状態は「今回のシリーズの中でも特筆もの」だったようだ。もちろんこの音質には,オノ・セイゲン氏による丁寧なリマスタリングの功績も大きいのだろう。 曲目はオーソドックスなスタンダード集。それぞれが非常にリラックスした雰囲気で,エラがルイの声を真似る場面もあったりする。この時期のモノラル録音で今まで聴かれ続けているものは,音質が良いものも多いが,何より内容が充実している。今から50年後にも前世紀の音楽として愛聴されているのは,この時代の音楽なのかも。そういえば1995年のブルース・ウィリス主演の映画『12モンキーズ』で,細菌テロで人類がほぼ全滅した2035年から1996年に戻ってきた主人公が,カーラジオを聞き「20世紀の音楽はいいなぁ」と涙ぐむ場面があったが,そこで流れるのもこの頃の音楽(こちらのサイトによるとFats Dominoによる1956年のヒット曲,「Blueberry Hill」)だった。 Jane MonheitやAnn Sally,Enya,鮫島有美子,そしてDean Martin(「On The Street Where You Live」あたりは素晴らしい)など,お気に入りのヴォーカル・アルバムはいくつかあるが,「Ella & Louis」はしばらくそのリストの先頭を占めることになりそう。ジャケットの2人の幸福感あふれる表情も良い。 01 Can't We Be Friends? 02 Isn't It A Lovely Day? 03 Moonlight In Vermont 04 They Can't Take That Away From Me 05 Under A Blanket Of Blue 06 Tenderly 07 A Foggy Day 08 Stars Fell On Alabama 09 Cheek To Cheek 10 The Nearness Of You 11 April In Paris Ella & Louis Again (RMST) (輸入盤CD) :翌57年に出たElla and Louisの続編 HMV 楽天市場ストア 楽天レンタル メガプランを試す:意外とクラシックやジャズが充実 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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