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2016年02月23日
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カテゴリ:文化について
本国のイギリスでも評判をとっているBBCの歴史ドラマ「ダウントン・アビー」。日本では、今、第4シリーズがNHKで放映されています。


イギリスのドラマや映画は時代考証をきちんとして作られているものが多いので、当時の生活、衣装、風習を知るよい題材としても見ることができます。今回もエドワード朝の習慣や作法が専門の歴史学者が監修に入っているそうなので、細かいところまで見逃さないようにして見ています。


さて、話はタイタニック号が沈没した1912年から始まり、今は、ジャズがロンドンにもやってきた1920年代半ごろあたりです。


イギリスの時代物を描く際、ダンスシーンは外せないはずなので、民族的なものが消えゆく20世紀初頭に、伝統音楽がちらとでも出てこないかと、ドラマの中での時代の変移を見守っていました。


第一次世界大戦中の1916年に屋敷で行われたパーティーでは、ヨーロッパ風のワルツなどの社交ダンスでした。


下の階(調理場)でも、下働きのデイジーが新しいステップを教えてもらうシーンがあります。あれも、流行の音楽です。


屋敷の長女メアリと相続人のマシューの若い二人がお互いの思いを伝え合うダンスシーンは、当時出たばかりの円盤レコードを蓄音機にかけて、ダンスはヨーロッパ風の社交ダンスでした。


戦争が終わった1920年あたりに、スコットランドの親戚のうちに一家で泊まりに行ったとき、スコットランド育ちの貴族の娘ローズが、スコティッシュリールのステップを侍女に教えそれを二人でひそかに練習して、パーティーの時、侍女が難しいステップで弾むようなソロリールを披露してみんなを驚かせるシーンがありました。曲は、スコットランドを代表する曲Fairy Danceでした。


ローズは、18歳の設定で伝統色が濃いスコットランドの土地では、このような上流階級の若い世代でも、伝統的な音楽に合わせて、伝統的なダンスを楽しむ機会があったというのは興味深かったです。


呼ばれているバンドメンバーの中にフィドラーもいて、私たちがやっているまさに、伝統のジャンルの音楽とダンスが見られたのは、ドラマの後にも先もこのシーンだけです。


一方、イギリス人は、40代のお父さんも20代半ばのメアリも、民族的で伝統的なダンスについてはよく知らないようでした。イギリス人は普通はスコットランドのダンスは踊りませんし、紳士淑女の階級で踊られていたイギリスの伝統的な社交ダンスは、トマス・ハーディーが生きていた19世紀後半ぐらいまでで消えてしまったので、それは、当然なのですが。


ジャズは1920年代にアメリカで発明された新しい音楽でしたが、それがロンドンに輸入されて、楽しまれたそんな時代です。スコティッシュ・リールのステップが踊れるローズも、ジャズを楽しみます。


当時の人にとって、誰も聞いたことのない、まったく新しい音楽というのはどんなにエキサイティングだったでしょうか!


イギリスでは、20世紀初頭は文化や社会情勢がどんどん変化していった時代であり、伝統的な音楽は、オックスフォードやコッツウォルズや他の田舎の祭りのシーン以外では、日常的にまったく見られなくなり、新しいものを吸収していくのに忙しい時代だったのでしょう。


イギリスの伝統音楽が見直されるのは、次の60年代のフォークリバイバルまで待たなければいけません。



















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最終更新日  2016年02月24日 01時00分19秒
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