先日、奈良の興福寺(あの五重の塔があるお寺)で仏教の講話を聴く機会がありました。
私なりに音楽にからめて聴いていて、面白いなと思ったことを書きます。
まず、仏教の基本的なこと
私たちは八つの意識があって、まず、5つは見るとか聞くの五感ですね
六番目がいわゆる心で、七番目が自分の過去の経験則。八番目が自己愛。
六番目までは、寝ると途切れてしまうものだけど、あとの二つは寝ても途切れずにアイデンティティーを維持するもの。面白いですね。
五感は、五つに放たれる矢となって対象物に飛んでいき、わが物として取り込みたいという渇きに似た強い欲望が生まれるそうで、欲望は性愛や食物摂取のような生き物としての根源的なものだけでなく、音楽などの技芸についての 教養的知識獲得への思い も含むそうです。
みなさんが、音楽と出会って、とりこになっている様は、まさにこの通りではないでしょうか。
五つの矢が飛んでいくとかすごくイメージできませんか!音楽が好きなのは 渇きに似た強い愛着 なんですね。
こうしていろいろと取り込んでいくのは、人生の三つの目的のひとつであるのだけど、しかし、あれやこれやを取り込みすぎるとがんじがらめになって悩み苦しむよ、ちゃんと取捨選択しなさい、という注意付きが仏教らしいですね。でも、大事なことだと思います。
それから仏教から「菜根譚(17世紀の中国の書)」について話は飛びますが
「自然の美しさや、音楽などに触れて、芸術をゆっくり楽しんでいると、俗塵にけがれた心もだんだんに洗い流されるようだ。
道楽にふけるようになっては本心を見失ってしまうが
常々、自然や芸術の環境の力を借りて、俗化しないように心を整えることを心がけるとよい。」そうです。
道楽にふけるようになっては本心を見失う、というのは、鍵ですね。
道楽とは、具体的に、お金をつぎ込みすぎたり、時間を使いすぎたりすることでしょうか。
本心とは、正しい心のありかたのことで、本来の目的である「音楽(芸術)によって心を整える」ということから外れるな、ということですね。
講和は面白かったです。また、行ってみたいと思いました。
毎月第二土曜日13:00から@興福寺 興福寺仏教文化講座 入場無料