私は、パンやお菓子を作るのが好きです。作らない日はないと言っていいくらいよく作っています。
あるとき、ホームベーカリーでパンがうまく焼けない、と知り合いから相談されました。
ご存じのとおり、HBはこねる、発酵させる、焼く、と大事なところはすべて機械がやってくれるので、自分が行うのは材料を選定する、計量する、電源を入れる、コースを設定する、だけです。あと、焼けたら取り出すこともかな。
とにかく失敗するポイントが少ない。
それで、いろいろ聞いてみると、計量の仕方が目分量とかスプーンでぽいぽいとか、適当なやり方をしているというので、たぶん、それではないかなと思いました。
それで私のレシピを差し上げて、適切な計量器を使ってまずはきちんと計量することを勧めてみました。
そんなことを話をしているうちに、その人が化学畑出身で、大学の研究所で実験をしていた経歴の持ち主であることを思い出しました。
実験も計量します。なので化学の人にとって計ることは慣れているはずです。
パンも化学実験だと思って応用すればイージーだったのかもしれませんね。
このように、ある分野で得意なことを慣れていない他の畑で生かさずまっさらな気持ちになってしまう、ということはよくあることです。
自分がよく知らない世界でも自分の中の精通した感覚を応用してみることは割と容易です。感覚を平行移動していくような感じです。
これまで生きてきた中で身体を使っていろんな経験をしてきたことを、他のことで何か応用できないかな、という視点でいるといろんなことが簡単になって楽しいです。
例えば、音楽のリズムについて。
リズムって難しいな、と思ったとき、どうしていますか?
メトロノームをにらめっこして練習するのもいいアイディアですし、何かを叩いてみて打楽器的な世界からリズムを理解してみよう、というのもいいですよね。
でも、応用という観点から見ると・・・みなさんは歩きますよね。
歩くとき、どんなリズムを使っていますか。
急いでいるとき、ゆっくりと散歩しているとき、リズムは違いますよね。一定のリズムで歩くことができますか?歩くとき2ずつ、3ずつに数を数えたことはありませんか?
工夫次第でいろいろできると思います。