テーマ:癌(3550)
カテゴリ:空
風船に灯りが仕込んである。黄昏に浮かび上がる。 白い風船は血液癌と闘病中の人。 赤い風船は応援する友人や家族の人。 金色の風船は亡くなった患者を偲んで歩く人。 集合は秋の夕暮れ、海辺の広場だった。友人に「ボクのティームで一緒に歩こうよ!」と誘われ初めて参加した。親友数人とムーミンと母も来てくれた。 母ははりきってしまい愚犬まで連れて来た。愚犬は首輪にLED入りの夜光バッジを付けてもらい上機嫌。他の犬達とのご挨拶に大忙し。 毎年参加している乳癌マラソンほど参加者もいないし華やかさもないが、皆一斉に灯火を掲げてにこやかに歩き出すと不思議な空間だった。ちょっぴりロマンチックでちょっぴり切なくて。 ぼんやり見回していたら「赤」と「金色」が圧倒的に多い事に気付いた。「白」の闘病中患者が少ないんだな、と俄に悲しくなった。 するとB女がアタクシを小突き、それは悲しい事じゃないよ、と言う。「赤」が多いのは患者の一人づつにこんなに沢山の応援が付いてる、っていう事。「金色」が多いのは亡くなってしまった一人の人を想いながら何人も何人も集まってるっていう事。だから「白」が少ないんじゃくて支える愛情の輪が広いって事だよ。 あぁそうか、と納得しながら折り返し点にあったベンチで一休みした。はりきりすぎた母が一日かかって作って来てくれたお夜食っぽいお弁当を広げて皆でワイワイつまんだ。 アタクシは水筒ランタンから愚犬用の小さなボウルに水を分けてやった。すると通りかかる他のワンちゃん達も一緒に飲みに寄って来た。 時々光の灯った風船が夜空遠く舞い上がるのを眺めていた。ふと、願い事が叶いそうな気がした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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