テーマ:糖尿病(2614)
カテゴリ:医療となかま♪
本日は月1回定例の糖尿病教室。職場で行っているこの教室は「糖尿病の病態について」「運動の会」「食事の会」の3回シリーズで1クールです。
3回受講されると一旦修了生というかたちになるのですが、7月の健診で血糖値の判定が「要治療」と診断されたIさんも、今日修了された方の一人でした。 Iさんは7月の健診の結果、糖化ヘモグロビン(HbA1c)の値が10.2%。糖化ヘモグロビンとは、赤血球の色素であるヘモグロビンに糖がくっついた状態で、誰にでもあるものですが、この値の正常値は5.4%以下ですので10%以上ということは間違いなく高血糖。この状態が続くことは合併症(神経障害、網膜症、腎症や動脈疾患など)を引き起こす大変危険な状態です。 糖尿病は治るというより「コントロール」していかなければならない病気ですが、そのためには薬を飲んでいても、生活習慣である「食事」「運動」の改善は必須です。Iさんも薬を併用しながらの生活習慣の改善に取り組むことになったのですが、Iさんの場合、生まれつき足が悪いというハンディがありました。今まで見てきた患者さんの中で、ひざなどが悪くて運動ができず、肥満体型になっておられる方は筋肉が少なく、基礎代謝が低い為、食事を改善しただけではなかなか下がる人はいませんでした。Iさんもやはり肥満体型。正直「厳しいなぁ」と思っていたのですが、3ヶ月後の本日の結果、糖化ヘモグロビンの値が6.3%にまで低下していました。 Iさんがなぜこれほどまでに短期間で下がったのか。その大きな鍵は「運動」でした。しかもダンベル体操や腹筋、スクワットなど、歩くこと以外でできる上半身を中心とした運動を、血糖値がもっとも上がっている食後1時間で取り組まれたこと、それから油脂、糖分の見直しを中心とした食事療法と薬物療法を平行して実行された結果でした。 今回のことで「足が悪いから運動は厳しい」というのもまた、ひとつの「囚われ」「思い込み」であることを痛感しました。個別相談だけでは、医療従事者側の「囚われ」が先行してしまい、もしかするとIさんに運動をうまく勧めることができなかったかもしれませんが、同じ病気を持つ、同じ境遇の人たちが集まってそれぞれの生き方に触れることで、Iさん自身もまた「運動」の囚われから開放され、自発的にできることから「運動」に取り組むことができたようです。 後は一番難しくて一番重要なことが大きな課題として残されています。それが「継続」。長続きしない、後戻りしてしまうことは、もはや個人レベルの「根気のなさ」が原因ではなく、3ヶ月から6ヶ月以内に後戻りや中断が起こることを行動療法では「再発期」と認識されています。修了された方が何度でも後戻りしながら前進できるように、再受講制度や修了生の会などを発足させて再発期をサポートする体制をとっていますが、内容についてはまだまだ私たちスタッフの勉強不足もあり、試行錯誤を繰り返しているところです。 それにしてもIさん。現在自宅の庭に自家製のエアロバイク(自転車こぎ)を製作中だとか。Iさんは男性なのですが、こういう場合もやっぱり男性のほうが「はまったらとことんまでやっちゃう」ところがあります(笑)その分「再発」による反動も大きくなりやすいので、今後を見守りたいところです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年11月09日 06時07分07秒
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