テーマ:食のある風景(19)
カテゴリ:食となかま♪
前回ご紹介した映画「いのちの食べかた」この映画のもともとのタイトルはOUR DAILY BREADですが、邦題として採用されたタイトルは、2004年11月に出版された森 達也さん著作の「いのちの食べかた」から採用されたものです。
この本は牛や豚や鶏が屠殺されて食肉として加工され、食卓にあがるまでのことを子供向けにわかりやすく書かれた本ですが、その過程についてだけではなく、屠蓄される場所や、携わる人たちについて、日本人は「穢れ」「不浄」という感覚が染み付いていることからそれを「知ろう」とすることなく日常から遠ざけ「無自覚」になってしまったことについても言及されています。 映画では「食べられる生きもの」という視点ですが、本を読んでいてあらためて気づかされた一節がありました。 食べるための牛や豚や鶏だけじゃない。実験に使われる犬やサルやウサギやマウスだけでもない。僕ら人間は膨大な数の生きものを殺しながら生きている。~中略~いつのまにか僕らはハエや蚊やゴキブリは殺されて当たり前だと思ってしまっている。思考の停止、要するに麻痺だ。この麻痺がないと生活は維持できない。確かにそうだ。でも時には、この麻痺について、この矛盾について、少しくらいは考えたほうがいい。 僕たちはとても身勝手で矛盾した生きものだ。それが良いか悪いかは別として、とにかく君の身の回りのほとんどは、たくさんの「いのち」の犠牲のうえに成り立っている。 森さんがこの本のなかで何度も訴えられるのは「知ろうとすることをやめない」ということ。植物にしても動物にしても、「いのち」を与えられたそのときからほかの「いのち」を犠牲にするしかない。「いのち」はそのように生まれついたもの。それはこれまで人間が目指してきた便利で快適な生活を否定したり、肉を食べなければよいという問題ではないということにあらためて気づかされます。 映画を見ることができない方々には特に、映画を見た方にも森さんの「いのちの食べかた」ご一読をおすすめします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年02月21日 05時38分49秒
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